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大学数学基礎解説
文献あり

解釈モリモリで環論をやる 環の定義

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どうも

 こんにちは ごててんです あと少しで数学科(学部)を卒業してしまうので、今のうちに書ける記事を書いておこうと思い衝動で書き始めました

どの層に向けた記事?

 群をある程度知っているくらいの人向けです. 知らなくてもいいかもしれません.

言い訳

 可換代数をちょっとやったくらいの知識で個人の解釈モリモリの記事を書いています. 超的はずれなことを書いている可能性がありますが許してください. 無茶苦茶勇気を出してイメージとかそういうものを書いています(?)

環の定義

 環の定義ですが, 先に標語をいっぱい書いてみます. 環とは何かを突然聞かれたらどう言ってしまうかを列挙して雰囲気を掴んでみましょう

 環とは? 街の人に聞いてみました!

足し算引き算掛け算ができる構造
・2つの演算と分配法則
・和が加法群で積が半群の構造

 さて, ちゃんと定義を書いてみます

 $A$を2つの演算$+,\times$をもつ空でない集合とする. このとき, 次の条件を満たしているなら組$(A,+,\times)$と呼ぶ. 単に$A$も環と呼ぶ.

<条件>
 $+$にかかわるもの
(1) 任意の$a,b,c \in A$に対し$(a+b)+c=a+(b+c)$を満たす.
(2) 元$0 \in A$が存在し, 任意の$a \in A$ に対し$a+0=0+a=a$をとなる. またこの性質を持つ元は一意.
(3) 任意の$a \in A$に対し$a+(-a)=0$となるような元 $-a \in A$が一意に存在する.
(4) 任意の$a,b \in A$に対し$a+b=b+a$が成立している.

 $\times$にかかわるもの
(1) 任意の$a,b,c \in A$に対し$(ab)c=a(bc)$を満たす.
(2) 元$1 \in A$が存在し, 任意の$a \in A$ に対し$a1=1a=a$をとなる. またこの性質を持つ元は一意.

 $+,\times$の両方にかかわるもの
(1) 任意の$a,b,c \in A$に対し$a(b+c)=ab+ac,$$(a+b)c=ac+bc$を満たす.

流派

 $1 \in A$の存在を仮定しない流派も存在します.

 環の例をいくつか見ていきたいと思います.

よく知っているもの

 整数全体の集合$\mathbb{Z}$, 有理数全体の集合$\mathbb{Q}$, 実数全体の集合$\mathbb{R}$, 複素数全体の集合$\mathbb{C}$, 四元数全体の集合$\mathbb{H}$は環.

多項式

 複素数を係数とする$x$変数の多項式全体$\mathbb{C}[x]$は環.

行列

 複素数を要素に持つ$n$次正方行列全体$\mathrm{M}_n(\mathbb{C})$は環. ($0,1$に相当するものは何なのか考えてみてください!)

休憩

 環というものがどういうものか、なんとなく掴めたでしょうか もう一度標語を見てみましょう

 環とは? 街の人に聞いてみました!

足し算引き算掛け算ができる構造
・2つの演算と分配法則
・加法群に半群の構造も入っている

 ぼくは環の定義を当然ながら(?)丸暗記をしているわけではありません 上の標語から思い出しているという感じです

 えっと...... まず足し算に関して可換群になっていて...... 掛け算は結合法則を満たしていて...... ぼくは$1$の存在を認める派で...... そうそう分配法則を忘れちゃいけない

 の流れで思い出します

 もっと言えば「たしざんひきざんとかけざんがいいかんじ!」くらいの認識でいますが環の定義を知って以来これで困ったことはありません(?)

もう少し定義

 可換という素敵な言葉があります 上で定義した環というものは積の可換性を課していませんでした
そこで次を定義します.

可換環

 $(A,+,\times)$を環とするとき, 任意の$a,b\in A$に対し$ab=ba$となっているなら $(A,+,\times)$可換環であるという.

 いわゆる「可換代数」の文脈だと、$1$の存在を認めて、さらに積が可換であることも含めて「環」と呼ぶことがあり 下のような注意書きがあることが多いです

 本書で環と言えば, $1$を持つ可換環のことを指す.

 以下, 簡単のため環はすべて$1$を持つ可換環であることを仮定します. (結構ややこしくなる箇所があります)

整域

 $(A,+,\times)$を可換環とする. 任意の$a,b\in A $に対し「$[a \ne 0 $かつ$ b \ne 0]$ なら $ ab \ne 0$」となっているなら $(A,+,\times)$整域であるという.

 こういう「満たしている例がそれなりに多い」ものを定義したあとは「満たさない例」を考えたほうがいいと聞きますし, ぼくもそう思ったので, 満たさない例のみを紹介します.

関数による環

 定義域を$I=[0,1] \subset \mathbb{R}$とする関数全体を$A$とし, 和と積をそのまま関数の和と積として定めると可換環となる. これは整域でない.

 整域では, 次の性質が成り立ちます.

 $A$を整域, $a \in A$$a\ne 0$である元とする. このとき, $b,c \in A$$ab=ac$を満たしていれば$b=c$が成立している.

 証明を読む前にちょっと考えてみてください. そのほうが楽しいと思いますし......

 

 

 

 

 ↓ ↓ ↓ 証明 ↓ ↓ ↓    

 

 

 

 

 では証明です.

 対偶を用いる. 「$[a \ne 0 $かつ$ b \ne 0]$ なら $ ab \ne 0$」の対偶は「$ab = 0 $ なら $[ a=0$または$b=0]$」.
さて, $b,c \in A$$ab=ac$であるとすると$ab-ac=a(b-c)=0$となる. $a\ne 0$であるので$b-c=0$がわかる.

 証明中で分配法則が効いています. 定義の中に分配法則があってよかった!

 最後に「可逆元」「体」を定義します.

可逆元, 単元

 $A$を可換環とする. $a \in A$に対して$b \in A$が存在し$ab=1$を満たすとき, $a$可逆元, または単元という. また単元全体を$A^{\times}$などと書く.

 上の条件を満たす$b$は一意的であり, $a^{-1}$と書く.

 $\mathbb{Z}$の可逆元は$1,-1$.($\mathbb{Z}^{\times} = \{ 1,-1 \}$$\mathbb{Q}$の可逆元は$0$以外すべて.

 ラストです.

 $K$を可換環とする. 任意の$K$の元$x \ne 0$が可逆元であるとき$K$であるという.

 いつでも割り算ができる環, と考えることができます.

 $\mathbb{Q}, \mathbb{R}, \mathbb{C}$は体.

 ここでは証明しませんが, 体の中でも有限集合からなる体の位数(元の個数)は素数のべきであることが(線形代数から割とすぐに)わかります. もし興味が出た場合は示してみてください!

おつかれさまでした

 ここまでありがとうございました~ とりあえず何も見ずに環, 可換環, 体の定義を書けるようになると嬉しい気持ちになれます

 書き終わってみれば、解釈のしようがないトピックだったので普通の記事に終わってしまいました()
気力があればこのシリーズを書いていきたいと思います それでは

 

参考文献

[1]
M.F.Atiyah, I.G.MacDonald 著, 新妻 弘 訳, Atiyah-MacDonald可換代数入門, 共立出版, 2006
[2]
雪江 明彦, 代数学2 環と体とガロア理論
投稿日:202318

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ごててん
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位相空間と環が好きです

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