こんにちは ごててんです カジュアルめな数学の記事を書きたいという欲を抑えきれませんでした
環と体と整域の定義を知っているくらいの前提です 環論やったことあります!という人はそんなの知ってるわ!という感じでムカつくと思うので読まないでください(?)
この記事は、単に環といえば「
可換代数をちょっとやったくらいの知識で個人の解釈モリモリの記事を書いています. 超的はずれなことを書いている可能性がありますが許してください. 無茶苦茶勇気を出してイメージとかそういうものを書いています(?)
証明をほどほどに、イデアルのイメージを掴むのが目的です
厳密さ等を伴わないイメージを書くこともあるので苦手な方はブラウザバック推奨です
イデアルにまつわる標語を覗いてみましょう
街頭インタビュー! イデアルって何ですか?
・倍数みたいなヤツ
・正規部分群の環バージョン
・環の性質を語る上でたいへんに便利な概念
・環上の加群の特別な場合
大体このくらいの理解が共通認識としてある気がします. では定義です.
例を見ていきましょう.
(2) の条件が特徴的です.
どんな元も
多項式環
もう少し面倒な例も見てみましょう.
多項式環
例1,2 は「何かの倍数」くらいのものでしたが 例3 では「何かと何かの線形結合」みたいなパターンが出てきてしまいました. 一筋縄では行きませんね.
これをもう少し掘り下げてみましょう.
ほぼベクトル空間の生成ですね.
「~の倍数」というのが単項イデアルにあたります. そして上の 例3 が単項イデアルでない例です. (単項イデアルとして書けないことを証明してみよう!)
ちょっと休憩です. イデアルの生成がほぼベクトル空間の生成と書きました. これをもう少し補強します.
イデアルの定義をみてみると,
ということで, 和とスカラー倍 について閉じていると見れます. また条件の中では**イデアルの元同士の積を考えていません.**(イデアルの元同士の積を考えること自体はいっぱいあるのですが)
こうしてみると, イデアルは部分ベクトル空間のように見えてきますね. 気になったひとは「環上の加群」で検索してみてください......
さきほどイデアルの生成を定義しましたが, これでは有限集合によって生成されるイデアルしか定義できていません. 代数学で無限を扱うときは無限和を回避する工夫などが必要になるので, たとえば次のように工夫します.
こうして無限集合の場合も生成を定義することができました. これに対し, 有限生成という言葉があります. 有限集合によって生成されるイデアルを「有限生成なイデアル」と呼びます.
もうひとつ補足です. さきほど
ここから意味を拡張して, イデアル
この意味で, 例3 の
イデアルの標語をまた見てみましょう.
街頭インタビュー! イデアルって何ですか?
・倍数みたいなヤツ
・正規部分群の環バージョン
・環の性質を語る上でたいへんに便利な概念
・環上の加群の特別な場合
この上から3つ目,「環の性質を語る上でたいへんに便利な概念」がどういう意味なのか. その一つの答えを書こうと思います.
まずはとても性質の良い環を一つ定義します
すべてのイデアルが単項イデアルとなる整域を単項イデアル整域という. (よくPIDと書かれる.)
有理整数環
この事実の証明はちゃんと書けば少々面倒です. 超ラフに証明のスケッチを書いておきます
<証明の雑スケッチ>
ちゃんとした証明は大体の環論の本に書いてあると思うのでそちらをどうぞ......
体はPID.
後ほど証明します.
整数係数の多項式環
たとえば
体
証明は
体
たとえば
PIDはいろいろな環の特別な場合になっています. この記事で定義はしませんが, 以下の環の特別な場合となっています.
・ネーター環
・一意分解環
・整閉整域
・デデキント整域
うち一意分解環と整閉整域は定義に「イデアル」という言葉が含まれません. イデアルを制限することで, イデアルと関係なく定義される概念と整合性がとれている結果が出てくる. これだけでイデアルを見る重要性が感じられると思います.
簡単に定義できるのでネーター環は定義しておきます.
すべてのイデアルが有限生成である環をネーター環という.
定義していない言葉を使って「これだけでイデアルを見る重要性が感じられると思います!」などと言われてもしっくりこないと思います. そこで, イデアルを使って特徴づけることができる一番(?)簡単な例を書こうと思います.
なんと, 体であることを「イデアルが
早速証明していきたいところですが, たいへんに便利な補題を示してから行きたいと思います
ラフな感じに証明します.
よって
伝家の宝刀などと書きましたが, 環論をしていると呼吸レベルで使います.
さて, 定理1の証明に入っていきます.
(1)
(2)
そして定理1を使うと, さきほど証明をしなかった例5(体はPID)を示すことができます. なぜなら体
はい. いま体であることと, イデアルが
イデアルというのはある意味で「倍数」のことでした. イデアルが
有理数範囲で考えてみれば, 確かに倍数の概念はばかばかしくなります.
つまり定理1は 割り算ができるということと, 倍数の概念がつまらないということが同値だ, などと(無茶に)言い換えることができます.
ここまでありがとうございました イデアルの重要性を必死に訴えたつもりです. 環論を勉強し始めた人の助けになれば幸いです. それでは~