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大学数学基礎解説
文献あり

実数体構成#1

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実数Rの集合の構成を全n回で大学数学の前提知識なしで説明していきます。ただ、数学書特有(?)の議論は普通に大学数学チックに行う(つまり、高校数学の教科書みたいな感じではないかも)のでそこらへんは読者に頑張ってもらう感じでやっていきます。あと数Iの集合の内容は流石に既知です。

Rの構成は様々ありますが次の2種類が王道だと思います。
①Dedenkind切断による構成
②Cauchy列による完備化
Dedekind切断とかCauchyとかは名前だけは聞いたことある人は結構多いと思います。個人的には②の方が演算とかがイメージできて好きです。なのでそちらで進めていきたいと思います。②の大まかな方針は

それぞれの実数(2π)を 有理数列の極限と見做す

という感じです。即ち2a1=1.4,a2=1.41,a3=1.414,a4=1.4142,みたいな有理数列{an}の極限と考える感じです。

整数や有理数の四則演算や大小関係は割と簡単に構成できる(究極的には難しいかも?あんま詳しくないです)のでその数列から実数を構成すれば実数の四則演算や大小関係もうまく定義できそうですよね。ただ、この方法を取ろうと思うといくつか疑問が生じます。

  • 数列の極限とは何か?
    実数体がないのに上の数列{an}の極限(有理数に収束しない!)の意味を考えることはなかなか難しそうです。
  • 有理数列を恣意的にとって大丈夫か?
    上の数列は10進数的に取りましたが2進数を使ってそうなロボットや20進数を使っていたマヤ文明の人間が2を定義したら違う感じになったらなんか萎えます
  • ちゃんとそれで微積的なことができるのか?
    上で構成したR上で中間値の定理みたいな主張は成り立つのでしょうか。なかなか不安です。
  • 他にも良い定義あるんじゃないか?
    上で構成したR以外にも微積と相性の良い集合+演算はあるんじゃないか。
  • 2はともかくπeとか普通の実数はどのように定義するのか
    2は代数的にも重要な数なので定義するのは多分簡単です。πとかeも。もっと性質が面白くない“モブ実数”までちゃんと定義してあげる必要があります。

不安要素を挙げるとキリがないです。ちゃんと議論(確認)しないといけない点はいくつもありますね。

Cauchy列の方法でRを構成する上で必要な知識を大きく2つの分けると

  • 集合論(写像・直積・関係・全単射)
  • 代数学(群・環・体の定義くらい イデアルとかは不要)

になります。これらの知識は大学で学習する数学の基礎の基礎なのですが、これさえあれば意味不明なRも余裕で作れます。

本項の終わりに、今回の最終目標である命題(数学的事実)を記しておきます。

連続公理を満足する順序体は順序体の同型を除いて唯一つ存在する。

では次回の投稿をお待ちください。待てない方は解析入門の1章を読んでください。

参考文献

[1]
杉浦光夫, 解析入門I, 基礎数学, 東京大学出版会, 1980
投稿日:2023125
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