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大学数学基礎解説
文献あり

log Γ(z)のフーリエ級数展開

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はじめに

 この記事では後の記事に向けてlogΓ(x)0<x<1におけるフーリエ級数展開
logΓ(x)2π=n=1(12ncos2πnx+γ+log2πnπnsin2πnx)=(12x)(γ+log2π)12log(2sinπx)+1πn=1lognnsin2πnx
を証明していきます。この公式はKummerの公式と言います。

補題

logx=0(etext)dtt
が成り立つ。

logx=1x1udu=1x0eutdtdu=0(etext)dtt
とわかる。

γ=0(et1etett)dt=0(11+t2et)dtt
が成り立つ。

 一つ目の等号は
γ=limn(k=1n1klogn)=limn(k=1n0ektdt0(etent)dtt)=0(et1etett)dt
とわかる。
 二つ目の等号は
Γ(z)Γ(z)=γ+1z+n=1(1z+n1n)
より
γ=Γ(1)=0etlogtdt=00(eueut)etdtduu=0(11+ueu)duu
であることと任意のα>0に対し
0(11+tα11+t)dtt=0(uα11+uα11+u)du(t=1/u)=[1αlog(1+uα)log(1+u)]0=0
が成り立つことからわかる。

 0<x<1において
x12=1πn=1sin2πnxnlog(2sinπx)=n=1cos2πnxn
が成り立つ。

log(1e2πix)=log(2sinπx)+log(ieπix)=log(2sinπx)+iπ(x12)=n=1e2πinxn=n=1cos2πnx+isin2πnxn
の実部虚部を比較することでわかる。

証明

 Re(z)>0において
logΓ(z)=0(zet1ezt1et)dtt
が成り立つ。

γ=0(et1etett)dt
に注意するとRe(z)>0において
Γ(z)Γ(z)=γ+1z+n=1(1z+n1n)=γ+1z+n=10(e(z+n)tent)dt=γ+0eztdt+0e(z+1)tet1etdt=0(ezt1etett)dt
が成り立つのでこれをz:1zで積分することで
logΓ(z)=0((z1)ett1tetezt1et)dt=0(zet1ezt1et)dtt
とわかる。

Kummerの公式

 0<x<1において
logΓ(x)2π=n=1(12ncos2πnx+γ+log2πnπnsin2πnx)=(12x)(γ+log2π)12log(2sinπx)+1πn=1lognnsin2πnx
が成り立つ。

 logΓ(x)/2π0<x<1の部分を周期1の関数とみなしてフーリエ級数展開
logΓ(x)2π=a02+n=1(ancos2πnx+bnsin2πnx)
を考える。
 anについては相反公式
Γ(x)Γ(1x)=πsinπx
の対数を取ることで
logΓ(x)2π+logΓ(1x)2π=a0+2n=1ancos2πnx=log(2sinπx)=n=11ncos2πnx
と決定できる。
 またbnについては補題4より
bn2=01logΓ(x)sin2πnxdx=001(xet1ext1et)sin2πnxtdxdt
と表すと
01sin2πnxdx=001xsin2πnxdx=12πn01extsin2πnxdx=Im(01e(t2πin)xdx)=Im(1et+2πint2πni)=2πnt2+4π2n2(1et)
から
bn2=0(2πnt2+4π2n2et2πn)dtt=12πn0(11+t2e2πnt)dtt=12πn0(11+t2et+ete2πnt)dtt=12πn(γ+log2πn)
と計算できる。
 以上より主張を得る。

おまけ:Γ関数の倍数公式

 Kummerの論文ではこの公式はΓ関数の倍数公式を導出することに使用されています。

Γ(nz)=nnz12(2π)n12k=1n1Γ(z+kn)
が成り立つ。

 0<z<1/nに対して示せばよい(解析接続すればいいので)。
 いま周期関数
f(x)=n=cne2πinx
に対して
k=0n1f(x+kn)=m=cme2πimxk=0n1e2πiknm=nl=clne2πilnx
が成り立つことに注意するとKummerの公式から
k=0n1logΓ(x+kn)2π=nk=1(akncos2πknx+bknsin2πknx)=nk=1(12kncos2πknx+γ+log2πknπknsin2πknx)=k=1(12kcos2πknx+γ+log2πkπksin2πknx)+lognπk=11ksin2πknx=logΓ(nx)2π(nx12)logn
を得る。

参考文献

[1]
E. Kummer, Beitrag zur Theorie der Function., J. reine angew. Math. (Crelle’s J.), 1847, pp. 1-4
[3]
E. T. Whittaker, G. N. Watson, A Course of Modern Analysis, Cambridge University Press, 1927, p. 247
投稿日:2023126
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投稿者

子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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