今回は、線形代数のいくつかの性質、特に基底まわりの話を、なるべく成分表示を用いずに、写像による説明によって見ていこうと思います。
この記事独自の定義をしている箇所がありますのでご注意ください。また図式を描画するツールが重く、表示できないことがあるようなのですがすみません。
とは言え全く成分を用いないということはできませんので、最も基本的な, 内積のみ初めに定義しておきます。(全て内積に落とし込んで考えていくということになります。)以下
必要な概念を定義していきます。以下
以下,
ここでまず、表現行列の基底変換を考えます。
(証明)次の図式から分かります。
他にも定義していきます。
双線型形式
これらを用いて転置行列を以下のように定義します。(内積の双線型性を使います。)
ただし
転置行列は内積における随伴(
さらに双対基底を以下のように定めます.
双対と転置の関係を見てみましょう.
(証明)
図式
の双対をとると、双対基底と転置行列の定義により
となることから分かります。
次に双線型形式の表現行列を考えていきます。
双線型形式
これは実は、行列
基底
(証明)定理2において
となることからわかります。
(証明)次の図式からわかります。
写像
次は可換.
(証明)
次は可換.
(証明)
(証明)
これと2つの補題を合わせて、
これの右側部分より分かります。
(証明)
補題6と全く同様に次が可換になります。
最後に、テンソル積の元の基底変換(のようなもの)について調べて終わりにしようと思います。
自然な同型
元
これは実は、基底
(証明)次の図式から分かります。
読んでくださった方、ありがとうございました。