本記事では、集合論を用いずに自然数を定義し、順に整数、有理数、実数を定義する。集合論を用いないところが肝である。集合論を用いない微分積分学の基礎とするべく、本記事を執筆する。
まずは、自然数を定義する。整数、有理数、実数についても随時加筆する。最初に、次の公理を認める。
任意の数学的対象
(反射律)
(対称律)
(推移律)
を満たす。さらに、命題
次に述べることを公理として認める。まず、自然数を定義しよう。
(1)
(2)
(2.1 和の結合法則)
(2.2 和の交換法則)
(2.3 和の単調性)
(2.4) 広義自然数
次に、積に相当する2項演算を導入しよう。
(4)
(4.1 積の結合法則)
(4.2 積の交換法則)
(4.3 分配法則)
(4.4 乗法単位元の存在)
順序と引き算を定義する。
(5) 2つの自然数
数学的帰納法を証明しておく。
自然数
次が成立するとする。
(1) P(1)は真
(2) P(n)が真ならば、P(n+1)が真
このとき、すべての自然数に対して、P(n)は真である。
自然数の定義より、
従って、仮定より、
次が成立する。
(1)
(1)
(2)
自然数の表示の一意性から従う。
次に、整数を定義しよう。
引き算とは別に、ただの記号として、
(ZA.1)
2つの整数
(1) 和を次のように定義する。
(1.1)
(1.2)
(1.3)
(1.4)
(1.5)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(2)-(7)は公理と定義から分かる。(1)の証明は有名なので割愛する。
最後に、整数の順序とその基本性質をまとめておく。
整数
次が成立する。
(1)
(1)
(2)