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大学数学基礎解説
文献あり

付値を定義するだけ

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付値ってな、3種類あんねん。

アンミカ風に始まりましたが,言いたいのは,付値には大きく分けて3つ,加法付値・乗法付値・指数付値があるということです.わざわざ言わなくてもわかると思いますが,減法付値・除法付値・対数付値なんてものはないので気を付けましょう.それではそれぞれ定義していきましょう.以下,Kを体とします.

加法付値

KからR{}への写像vが以下の条件を満たすときvKの加法付値という.

  1. v(xy)=v(x)+v(y)
  2. v(x+y)min{v(x),v(y)}
  3. v(x)=x=0
乗法付値

KからR0への写像φが以下の条件を満たすときφKの乗法付値という.

  1. φ(xy)=φ(x)φ(y)
  2. φ(x+y)φ(x)+φ(y)
  3. φ(x)=0x=0
指数付値

KからR{}への写像νが以下の条件を満たすときνKの指数付値という.

  1. ν(xy)=ν(x)+ν(y)
  2. ν(x)0ならばν(1+x)0
  3. ν(x)=x=0

一つだけ命題を証明します.

指数付値において以下が成り立つ.

  1. ν(1)=ν(1)=0
  2. ν(x)=ν(x)
  3. ν(1/x)=ν(x) (ただしx0
  4. ν(x+y)min{ν(x),ν(y)}

特に(4)より指数付値は加法付値であることが分かる.

(1)ν(xy)=ν(x)+ν(y)の式にx=y=1,x=y=1を代入すれば分かる.

(2)ν(xy)=ν(x)+ν(y)の式にy=1を代入すれば分かる.

(3)ν(1)=ν(x/x)=ν(x)+ν(1/x)より分かる.

(4)x=0またはy=0の時は明らかに成立するので,x0かつy0を仮定する.ν(y)ν(x)とすれば,ν(y/x)0.すると,ν(x+y)=ν(x(1+y/x))=ν(x)+ν(1+y/x)ν(x)が成り立つ.ν(y)ν(x)を仮定していたから,ν(x+y)min{ν(x),ν(y)}ν(x)ν(y)を仮定しても同様なので,これで証明ができた.

補足

指数付値の定義は参考文献[1]を参照してこれかな~って定義したものなので,もしかしたら正式な定義と異なっているかもしれません(特に,Wikipediaとかみると別の定義になっているのでどうなってんねんという人もいるかもしれません).ただ参考文献[1]に関する記事を色々出していきたいと思いますので,その兼ね合いもあって上のように定義しました.

参考文献

[1]
岩澤健吉, 代数函数論
[2]
松村英之, 可換環論
投稿日:20241018
更新日:20241019
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はじめまして!楽しい記事を書ければと思いますので、よろしくお願いします。

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