ここでは東大数理の修士課程の院試の2022B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2022B07
境界を持たないコンパクトな次元級多様体からへのはめ込みを考える。このとき任意のいついて
(R1)
(R2) を満たす任意のについて、相異なるを取ったとき、
が成り立つ
を満たすとする。このとき以下の問いに答えなさい。
(1) 集合
はの次元級部分多様体であることを示せ。
(2) 集合
はの次元級部分多様体であることを示せ。
- まず級写像
を考える。このとき条件(ii)からは正則値であるから、正則値定理よりはの部分多様体である。はの開部分集合であるから、はの部分多様体である。そしてその次元はである。 - まずはめ込みは局所的に埋め込みであるから、任意の及びそれらのに於ける近傍を取ったとき、及びはの部分多様体を定めている。ここで陰関数定理からのに於ける近傍の局所座標を適切にとることで、の方程式が局所的にで定義されるようにとることができる。ここでは上の近傍で定義された関数である。このときとの共通部分は方程式で定義される。ここで関数を考えたとき、条件(ii)からなるが存在する。よって正則値定理から
はの次元部分多様体である。ここでである。任意の及び相異なるについて、互いに交わらないに於ける充分小さい近傍をとり、及びとおく。ここで任意ののに於ける近傍を取ったとき、及びがに於いて開集合であったことを考慮すると、同相
及び
が取れる。よって任意のに於いてのある近傍は局所的にのに於ける近傍に微分同相である。よってはの次元級部分多様体である。