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ガンマ関数とベータ関数

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ガンマ関数

ガンマ関数

Γ(z)=0tz1etdt

この積分を第二種Euler積分ということもあります。
ここでts2としてみると
Γ(z)=20s2z1es2ds
となり、z=12とすることで
Γ(12)=20es2ds=es2ds
となり、ガウス積分と一致します。
ガウス積分の値はπであるので、この時点でΓ(12)=πであることがわかりますが、後ほど他の方法でもΓ(12)=πであることを証明してみたいと思います。
さて、ガンマ関数にはもう一つ定義があります。そちらも確認しておきましょう。

ガンマ関数

Γ(z)=limnnzn!k=0n(z+k)

これをEulerの乗積表示と言います。これは次回紹介するWeierstrassの乗積表示に必要になってきますのでここで紹介しておきます。
また後ほど、この二つの定義のガンマ関数が等しいことを証明したいと思います。
ここで、ガンマ関数の性質を二つ紹介します。

Γ(z+1)=zΓ(z)

第二種Euler積分を用いる方法

Γ(z+1)=0tzetdt
      =[tzet]t=0t=+z0tz1etdt
      =0+zΓ(z)

Eulerの乗積表示を用いる方法

Γ(z+1)=limnnz+1n!k=0n(z+1+k)
      =limnnzz+1+nnzn!k=0n(z+k)
      =zΓ(z)

系として次の定理を得ることができます。

Γ(n)=(n1)!

これを示すには、Γ(1)=1を示せば良いです。

第二種Euler積分を用いる方法

Γ(1)=0etdt
    =[et]0
    =0(1)=1

Eulerの乗積表示を用いる方法

Γ(1)=limnnn!k=0n(1+k)
    =limnnn!(n+1)!
    =limnnn+11

このことから、ガンマ関数は階乗の一般化ともされています。

ベータ関数

ベータ関数

B(a,b)=01xa1(1x)b1dx

これを第一種Euler積分と言います。
ここでベータ関数に関する定理を2つ紹介してEulerの乗積表示から第二種Euler積分を導いてみましょう。

B(a,b)=b1aB(a+1,b1)

B(a,b)=01xa1(1x)b1dx
     =[1axa(1x)b1]01+b1a01xa(1x)b2dx
     =b1aB(a+1,b1)

B(a,n+1)=n!k=0n(a+k)

左辺に定理3をn回適用して、
B(a,n+1)=n(n1)1a(a+1)(a+n1)B(a+n,1)
      =n!k=0n1(a+k)1a+n
      =n!k=0n(a+k)

0tz1etdt=limnnzn!k=0n(z+k)

nzn!k=0n(z+k)=nzB(z,n+1)
        =nz01xz1(1x)ndx
ここでxxnとすると
nzn!k=0n(z+k)=nz(z1)10nxz1(1xn)ndx
今、limn(1xn)n=exは区間[0,n]で一様収束するので
limnnzn!k=0n(z+k)=limn0nxz1(1xn)ndx=0xz1exdx
となり、2つのガンマ関数の表示が一致していることがわかりました。

ベータ関数を少し変形してみましょう。
xyαβαという置換を考えると
B(a,b)=αβ(yαβα)a1(βαβαyαβα)b1dyβα
    =1(βα)a+b1αβ(xα)a1(βx)b1dx      (y=xとした)
この結果から、
αβ(xα)a1(xβ)b1dx=(1)b1(βα)a+b+1B(a,b)
という式を得ることができます。
これはいわゆる16公式の一般化になっています。
16公式の一般化を知っている人は、自分の知っている形と少し違うように感じるかもしれませんが、後ほど馴染みが深いであろう公式の形も紹介しておきます。
それでは、ベータ関数の特殊値を計算するための定理を一つ紹介します。

B(a,b)=20π2sin2a1xcos2b1xdx

B(a,b)=01xa1(1x)b1dxにおいて
xsin2xとすると
B(a,b)=0π2sin2a2xcos2b2x2sinxcosxdx
    =20π2sin2a1xcos2b1xdx

ここで、a=b=12とすることで、B(12,12)=πであることがわかります。

ガンマ関数とベータ関数の関係

ここでは簡単なガンマ関数とベータ関数の関係、そしてΓ(12)=π16公式の一般化の簡単な形を求めたいと思います。

B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)

Γ(a)Γ(b)=0xa1exdx0yb1eydy
      =00xa1yb1exydxdy
ここでx+ytとすると
Γ(a)Γ(b)=0xxa1(tx)b1dtdx
今、txからまで動き、そのx0からまで動くため、t0からまで動くことがわかります。そのことから、積分範囲は
00txa1(tx)b1etdxdt
のように書き換えられます。
ここでxtxとすると
Γ(a)Γ(b)=001(tx)a1(ttx)b1ettdxdt
     =001xa1(1x)b1ta1+b1+1etdxdt
    =01xa1(1x)b1dx0ta+b1etdt
    =B(a,b)Γ(a+b)
B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)

上の定理7においてa=b=12とすると
B(12,12)=Γ(12)2Γ(12+12)
となり、B(12,12)=πΓ(1)=1であることからΓ(12)=πであることがわかります。
さて、16公式の一般化の式に定理7を適用すると、
αβ(xα)a1(xβ)b1dx=(1)b1(βα)a+b+1Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)
となります。さらに、am+1,bn+1とし、Γ(n)=(n1)!を用いると
αβ(xα)m(xβ)ndx=(1)n(βα)m+n+1m!n!(m+n+1)!
となり、おそらくみなさんが馴染んでいるであろう形になりました。
それでは今回はここら辺で終わりにしたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。

投稿日:2020119
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みずき
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