報告
以前投稿した記事にて、論理の根幹的な部分に間違いが発見されたため今回のような形で記事を再投稿させていただきました。また、指摘をくださったユーザーの方々に、この場で感謝させていただきます。ありがとうございました。
本題
では、四色定理を証明していこう。
定義
今回、四色定理を証明するにあたって(説明を簡略化するために)いくつかの定義をしていく。
部グラフ
部グラフを一般化した、"つの類からなるグラフ"のこと。
また、同じ類に属している頂点は隣接してはいけない。
色の同値類
グラフを色で彩色するとき、"同じ色"という観点で類を作れる。
そして、その類は同値律が成り立つ(証明略)。よってその類を"色の同値類"と呼ぶ(部グラフの類と混濁しないために"同値類"とした)。
(部グラフの)類と隣接する
頂点が部グラフの類の元と隣接しているとき、
"はと隣接している"という。
準完全頂点
部グラフにおいて、自分の属している類以外の全ての類と隣接している頂点。
彩色数
グラフを彩色する際に用いた色の個数(色の同値類の個数)。
定義は以上で終わる。
証明
大きくステップに分かれる。
平面グラフ
をマイナーとして含まない step1
最小彩色数が以下でない step2
彩色可能 step3
step1
クラトフスキーの定理より、平面グラフはをマイナーとして含まない。
をマイナーとして含まないならばもマイナーとして含まない。
以前投稿した記事の中で、クラトフスキーの定理を間違えて提示してしまった。"マイナー"という概念やクラトフスキーの定理については、読者諸君が各々調べてほしい。
step2
まずは幾つか補題を示す。
グラフを彩色とすると、色の同値類が個できるが、その色の同値類を部グラフの類とみなすと、部グラフになる。
逆に、部グラフの類ごとに彩色すれば彩色可能である。
最小彩色数が{彩色可能 }{彩色可能 }
{彩色可能 }{部グラフである }
彩色可能 部グラフ
より、
{{彩色可能}{彩色可能}}
{{グラフ}{グラフ}}
部グラフでない部グラフの類には準完全頂点が属している
準完全頂点以外のそれぞれの頂点は、(必ず)隣接していない(部グラフの)類がある。
部グラフの類の元全てが準同型頂点でないと仮定すると、それらの頂点は自分の隣接していない類に移すことができるので、「部グラフでない」と矛盾する。
背理法により、準完全頂点が属している。
部グラフでない部グラフにおいて、準完全頂点は、隣接していない全ての類について、その類に属している準完全頂点のうち少なくともつと隣接している
隣接している類の中に、と隣接する準完全頂点がつもないような類が存在すると仮定すると、その類をとし、と隣接するの元を全て別の類に移すと、が準完全頂点である事と矛盾する。
背理法により題意は示された。
部グラフでない部グラフは準完全部グラフをマイナーとして含む
補題より準完全頂点はすべての類に"存在する"。
ここで、準完全頂点以外の全ての頂点と、その頂点と接している辺を除く。この時、補題より既存の準完全頂点は準完全頂点のままである。
以上の動作により、準完全部グラフをマイナーとして含む。
準完全部グラフにおいて、つの類の位数がならば
をマイナーとして含む
位数がでない類の任意の元をとると、それは準完全頂点なので、位数がである全ての類の元と隣接している。また、位数がである類の元同士も隣接しているので、を含む。
位数がでない類がつ以上存在するとき、つまり、位数がである類がつ未満のとき、以下の動作で位数がである類を増やせる。
この動作を繰り返すと、最終的に位数が1である類の個数は、"つ"または"つ"になる。
"つ"の場合、補題6よりをマイナーとして含む。そして、"つ"の場合、それはそのものである。
上記の動作はすべてマイナーをとる動作に由来しているので、準完全部グラフはをマイナーとして含む。
次に、step2の証明をする。
対偶を代わりに示す。
最小彩色数をとすると、補題より、部グラフでない部グラフである。
補題より、準完全部グラフをマイナーとして含む。
補題より、をマイナーとして含む。
step3
最小彩色数が以上でないということは、最小彩色数は以下である。
最小彩色数が以下ということは、彩色可能である。
以上より、平面グラフは彩色可能である。
前回と比べると非常に苦しい内容になってしまったかと思います。それでも、ここまで読み進めてくださった皆さん、ありがとうございました。またどこかで会いましょう。