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ゼータ関数~無限調和積編~

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目次

1.はじめに
2.やっていく
3.補足
4.終わりに

1.はじめに

nを2以上の自然数とする。このとき、
$$ \sum_{m=1}^{∞} \frac{1}{m} \zeta (mn)x^{mn}= \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \sum_{i=1}^{∞} \zeta ( \lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in}\Big) ^{k} $$
が成立する。ただし、$ 0 \lt x \lt 1 $である。

今回は上の等式を導出してみたいと思います。いろいろな文字が入り混じっていますが、変数はnだけです。とは言っても、これを眺めているだけではよく分からないので具体例を書いてみます。

n=2のとき
$$\zeta(2)x^{2} + \frac{1}{2} \zeta(4)x^{4} + \frac{1}{3} \zeta(6)x^{6} + \cdots = \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \zeta(2)x^{2} -\zeta(2,2)x^{4}+\zeta(2,2,2)x^{6}- \cdots \Big)^{k} $$
n=3のとき
$$ \zeta(3)x^{3} + \frac{1}{2} \zeta(6)x^{6} + \frac{1}{3} \zeta(9)x^{9} + \cdots = \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \zeta(3)x^{3} -\zeta(3,3)x^{6}+\zeta(3,3,3)x^{9}- \cdots \Big)^{k} $$
$ \vdots $
一般に、
$$ \zeta(n)x^{n} + \frac{1}{2} \zeta(2n)x^{2n} + \frac{1}{3} \zeta(3n)x^{3n} + \cdots = \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \zeta(n)x^{n} -\zeta(n,n)x^{2n}+\zeta(n,n,n)x^{3n}- \cdots \Big)^{k} $$
ゼータ関数や多重ゼータ値がたくさん出てきますね。
それではやっていきましょう$ (\theta \omega \theta ) $👍

2.やっていく

まず、以下のような無限積を考えます。
$$f_{n}(x)= \prod_{j=1}^{∞}\Big(1-\big( \frac{x}{j} \big)^{n}\Big) $$
ただし、nは2以上の自然数、$0 \lt x \lt 1$とします。(この時、右辺の無限積は正の値に収束します)
自然対数をとって、2通りの方法で変形していきます。
$$\ln (f_{n}(x))$$
$$ = \sum_{j=1}^{∞} \ln (1-( \frac{x}{j} )^{n}) $$
$$ =\sum_{j=1}^{∞} \sum_{m=1}^{∞} \big\lbrace - \frac{1}{m} ( \frac{x}{j} )^{mn} \big\rbrace    (マクローリン展開) $$
$$ =\sum_{m=1}^{∞} \sum_{j=1}^{∞} \big\lbrace - \frac{1}{m} ( \frac{x}{j} )^{mn} \big\rbrace $$
$$ =- \sum_{m=1}^{∞} \Big(\frac{1}{m} \zeta (mn)x^{mn}\Big) \cdots① $$


一方、
$$ f_{n}(x) $$
$$ = \prod_{j=1}^{∞}\Big(1-\big( \frac{x}{j} \big)^{n}\Big) $$
$$ = 1- \zeta (n)x^n+ \zeta (n,n)x^{2n}- \zeta (n,n,n)x^{3n}+\cdots $$
$$ =1-\Big( \sum_{i=1}^{∞} \zeta (\lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in} \Big) $$
$$ =1-T(x) \cdots★ \quad \Big(T(x)≔\sum_{i=1}^{∞} \zeta (\lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in}\Big) $$
$$ \big(★\text{と} 0 \lt f_{n}(x) \lt 1\text{から}0 \lt T(x) \lt 1\text{だということが分かります。}\big) $$
したがって、
$$ \ln (f_{n}(x)) $$
$$ = \ln (1-T(x)) $$
$$ =\sum_{k=1}^{∞} \Big\lbrace -\frac{1}{k} \big(T(x)\big)^{k} \Big\rbrace  (マクローリン展開) $$
$$ =-\sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \sum_{i=1}^{∞} \zeta ( \lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in}\Big) ^{k} \cdots② $$
①②から、
$$ \underline{ \sum_{m=1}^{∞} \frac{1}{m} \zeta (mn)x^{mn}= \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \sum_{i=1}^{∞} \zeta ( \lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in}\Big) ^{k} } $$

3.補足

ちなみに、
$$ f_{n}(x)= \prod_{j=1}^{∞}\Big(1+ \Big(\frac{x}{j}\Big)^n \Big) $$
とおくことによって、以下の等式を得ることもできます。

$$ \sum_{m=1}^{∞} \frac{1}{m} \zeta (mn)x^{mn}(-1)^{m+1}= \sum_{k=1}^{∞} \frac{(-1)^{k+1}}{k}\Big( \sum_{i=1}^{∞} \zeta ( \lbrace n \rbrace^{i}) x^{in}\Big) ^{k} $$
$(2 \leq n , 0 \lt x \lt 1) $


また、最初の式において、xで係数比較をしていくと、

$x^{2n}→ \frac{1}{2}\zeta(2n)=-\zeta(n,n)+ \frac{1}{2}(\zeta(n))^2 $
$x^{3n}→ \frac{1}{3}\zeta(3n)=\zeta(n,n,n)-\zeta(n)\zeta(n,n)+ \frac{1}{3}(\zeta(n))^3 $
$$\vdots $$

のように、調和積による関係式が無限に出てきます。
$\xcancel{ここでタイトル回収}$

4.終わりに

今回導出した等式は、リーマン・ゼータ関数や多重ゼータ値だけでなくいろいろな級数でも立ちます。(結局、調和積の情報が無限に詰まってるだけなので。)最後に、そのような例を2つだけ挙げて終わりたいと思います。

$$ t( k_{1} , k_{2}, \cdots ,k_{n} )≔ \sum_{\begin{eqnarray} 0\lt a_{1} \lt a_{2} \lt \cdots \lt a_{n} \\ a_{1},a_{2}, \cdots, a_{n} : odd \end{eqnarray} } \frac{1}{a_{1}^{k_{1}}a_{2}^{k_{2}} \cdots a_{n}^{k_{n}}} \quad (2 \leqq k_{n}) $$
このとき、
$$ \sum_{m=1}^{∞} \frac{1}{m} t(mn)x^{mn}= \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \sum_{i=1}^{∞} t ( \lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in}\Big) ^{k} $$


$$ P( k_{1} , k_{2}, \cdots ,k_{n} )≔ \sum_{\begin{eqnarray} 0\lt p_{1} \lt p_{2} \lt \cdots \lt p_{n} \\ p_{1},p_{2}, \cdots, p_{n} : prime \end{eqnarray} } \frac{1}{p_{1}^{k_{1}}p_{2}^{k_{2}} \cdots p_{n}^{k_{n}}} \quad (2 \leqq k_{n}) $$
このとき、
$$ \sum_{m=1}^{∞} \frac{1}{m} P(mn)x^{mn}= \sum_{k=1}^{∞} \frac{1}{k}\Big( \sum_{i=1}^{∞} P ( \lbrace n \rbrace^{i})(-1)^{i+1}x^{in}\Big) ^{k} $$

ここまで読んでいただきありがとうございました。

投稿日:202335

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