を可換体として,に成分をもつ次正方行列の全体をで表す.を固定して,とする.行列の基本変形を "" で表す.
について,というのは任意のに対して
が成り立つことと同値である.のときこれはと表され,のときは及びと表されるので,これはがの解空間
に属していることと同値である.
かつの場合:
よりを得る.
かつの場合:
より
を得る.
かつの場合:
より
を得る.
かつの場合:
より
を得る.
かつの場合:
より
を得る.
に対して,とが可換ならの任意の元も可換になることに注意すれば,以下を得る:
解答. に対して,以下は同値である:
- の任意の元は可換である.
- である.
- は単位行列の定数倍でない.
このとき,は対角行列の全体になるか,を用いてと書ける.
まとめ
上の問題は Twitter でフォロワーの方が呟いていたものを簡単にした (一般の次元で考えていたものを次元にした) ものです.ただ計算しただけなので,線形代数を使った見通しが良い解答などがあれば是非教えてください.(追記: の場合について,delta さんが Jordan 標準形を使った証明をコメントで与えてくださいました.ありがとうございます.)
高次元の場合の反例について
解答にある主張のうち「(1)(2)(3)」は次元を以上の整数に広げても成り立ちますが,「(1)(3)」については,の標数がでなくが以上の偶数のときに反例があります (こちらの
user1551 氏の回答
を参考にしました).の場合には,例えばが反例になります.実際,は単位行列の定数倍ではなく,とは
より共にと可換ですが,
よりこれらは可換ではないので,は (3) をみたすが (1) をみたさない例になっています.の場合にも同様の手法により反例が作れます.