0
大学数学基礎解説
文献あり

49と同じ性質をもつ自然数

82
0

2つの平方数(10進数表記)を並べて新しい整数を作る.
得られる整数がまた平方数となるような性質をもつ数を見つけよ.

  1. 2210+32=49=72
  2. 6210+12=361=192
  3. 42100+92=1681=412

10k1<b2<10kとしてa210k+b2が平方数c2となるような整数を探すということである.
a210k+b2=c2の両辺をc2で割るとa2c210k+b2c2=1である.
x2+10ky2=1x=1,y=0を解にもつのでy=m(x1)とおく.
代入すると(x1)(x+1)+10km2(x1)2=0
x=1以外の解を求めると
x+1+10km2(x1)=0より
x=10km2110km2+1,y=2m10km2+1
mを有理数として互いに素な整数p,qにより分数で表す.(m=pq)
x=10kp2q210kp2+q2,y=2pq10kp2+q
この式を代入して
(10kp2q2)2+10k(2pq)2=(10kp2+q2)2を得る.

kが偶数2lであれば10kp2=(10lp)2となってピタゴラス数の問題となるので
kを奇数としてk=2l+1とおく.
10lpをあらためてpとおき
(10p2q2)2+10(2pq)2=(10p2+q2)2を得る.

b2+10a2=c2についてa,b,cが互いに素な整数とすると以下のいずれかの形で表すことができる.
(1) (10x2y2)2+10(2xy)2=(10x2+y2)2
(2) (5x22y2)2+10(2xy)2=(5x2+2y2)2

ただしx,yは互いに素な整数とする.

(10x2y2)2+10(2xy)2=(10x2+y2)2の形に必ずできるので
このとき10x2y22xyが互いに素でないと仮定すると
y2または5の倍数である.
いずれの場合を考えても
(5x22y2)2+10(2xy)2=(5x2+2y2)2
の形にできる.
一方(5x22y2)2+10(2xy)2=(5x2+2y2)2において
5x22y22xyが互いに素でないと仮定すると
x2の倍数またはy5の倍数である.
いずれの場合を考えても
(10x2y2)2+10(2xy)2=(10x2+y2)2
の形にできる.

以上の条件の下でa=2xy10の倍数であると仮定する.
x,yは互いに素な整数なので一方が2の倍数で他方が5の倍数となるかどちらか一方が10の倍数となる.
b=10x2y2の場合はx10の倍数となる.
b=5x22y2の場合はy2の倍数でx5の倍数となる.
a=2xy10で割ることのできる最大の回数をKとおく.
すなわち2xy10Kは整数であり10で割り切れないとする.
b=10x2y2の場合はx10Kの倍数となる.
b=5x22y2の場合はy2K1の倍数でx5Kの倍数となる.

K=0の場合
0<b2<10となる.
このような正の整数bb=1,2,3である.
1032=1
1062192=1
522232=2
51222192=2
512212=3
512222=3

K=1の場合
102<b2<103となる.
このような正の整数b10<b<32を満たす.
b=10x2y2の場合はx10の倍数となり
b=5x22y2の場合はx5の倍数となる.

2次形式

a,b,cを整数とする.
ax2+bxy+cy2を同次2元2次形式(単に2次形式)とよぶことにする.
2つの2次形式ax2+bxy+cy2,kX2+lXY+mY2が以下の条件を満たすとき,これらの2次形式は「対等である」という.
・整数p,q,r,spsqr=±1,x=pX+rY,y=qX+sYを満たすものが存在してax2+bxy+cy2=kX2+lXY+mY2を満たす.

判別式

D=b24acを判別式とよぶ.
Dが2次形式の判別式となる必要十分条件は
D=0,1(mod4)
である.

簡約2次形式

D=b24ac>0のときax2+bx+c=0の解をα,β(α<β)とする.
1<α<0<1<βがなりたつとき
ax2+bxy+cy2を簡約2次形式とよぶことにする.

D=b24ac>0のときax2+bxy+cy2が簡約2次形式であるための必要十分条件は
・ |a+c|<|b|<D,ab<0
である.

解と係数の関係により
0<α+β=ba,0>αβ=ca
よってab<0,ac<0特にD=b24ac>b2

a>0の場合
1<bD2a<0<1<b+D2a
より2a+b<D<2abなのでb<0である.
2a+b<Dとするとb+D>0に矛盾するので
D<2a+b<D<2abである.
したがって
(2a+b)2<D<(2ab)2
4a2+4ab<4ac<4a24ab
a+b<c<abよりb<a+c<b

a<0の場合
1<b+D2a<0<1<bD2a
より2ab<D<2a+bなのでb>0である
2ab<D<2a+b<Dが成り立つので
(2a+b)2<D<(2ab)2よりb<a+c<b

D=40の場合の簡約2次形式を求める.
|a+c|<|b|<40<7 より|b|=1,2,3,4,5,6 である.
b2=4ac+40だからbは偶数なので|b|=2,4,6
b2<b24acなのでac<0である.
a<0のときはc>0なのでx,yを入れ替えればx2の係数は正の値としてよいのでa>0の場合のみ考えることにするとb<0である.
b=2ならば|a+c|<2,4ac=404=36よりa=3,c=3
b=4ならば|a+c|<4,4ac=4016=24よりa=2,c=3またはa=3,c=2
b=6ならば|a+c|<6,4ac=4036=4よりa=1,c=1
したがって簡約2次形式は以下の4つである.
(1) 3x22xy3y2
(2) 2x24xy3y2
(3) 3x24xy2y2
(4) x26xyy2

これらの2次形式は以下のように変形できる.
(1) 3x22xy3y2=2(2x+y)25(x+y)2
(2) 2x24xy3y2=2(xy)25y2
(3) 3x24xy2y2=5x22(x+y)2
(4) x26xyy2=10x2(3x+y)2

(1)(2)は2X25Y2と対等
(3)は5X22Y2と対等
(4)は10X2Y2と対等

任意の2次形式には対等な簡約2次形式が存在することが知られている.

整数k0について,f(x,y)=kを満たすような2次形式f(x,y)と整数x,yが存在するための必要十分条件は,判別式をDとすると,
l2D(mod4k)を満たす整数lが存在することである.
D4の倍数のときはlは偶数となるのでl=2lとおくと
l2D4(modk)
となる.

整数mが存在しl2D=4kmとすると2次形式f(x,y)=kx2+lxy+my2の判別式はDでありx=1,y=0のときf(1,0)=kを満たす.

逆にf(x,y)=ax2+bxy+cy2=kが互いに素な整数解x=x0,y=y0をもつならばx0sy0r=±1を満たす整数r,sが存在する.
x0,y0が互いに素でなければx0,y0,kが共通の因数をもつので
f(x0,y0)=kの両辺が共通の因数で割りきれる.
互いに素な整数解を原始整数解とよぶことにすると
互いに素でない解は原始整数解の倍数として得られる.
そこで原始整数解についてのみ考えることにする.
2次方程式ax2+bx+c=0の解のひとつをωとする.
ω
ω=x0ω+ry0ω+s
と定めると
a(x0ω+r)2+b(x0ω+r)(y0ω+s)+c(y0ω+s)2=0である.
ωについて整理すると
(ax02+bx0y0+cy02)ω2+(2ax0r+bx0s+by0r+2cy0s)ω+(ar2+brs+cs2)=0
よりωの係数をl,ar2+brs+cs2=mとおくと
kω2+lω+m=0となる.
x=x0X+rY,y=y0X+sYと変換するとx0sy0r=±1より 
ax2+bxy+cy2kX2+lXY+mY2は対等である.

(xy)(ab2b2c)(xy)=

(XY)(x0y0rs)(ab2b2c)(x0ry0s)(XY)=

(XY)(kl2l2m)(XY)

より(acb24)(x0sy0r)2=kml24となるのでl24km=b24ac=D
したがってl2D(mod4k)を満たす整数lが存在する.

Legendre記号

x2a(modp)においてxが解をもつときapの平方剰余
そうでないときを平方非剰余という.
a0(modp) で平方剰余のとき(ap)=1
平方非剰余のとき(ap)=1
a=0(modp)のとき (ap)=0
と表すことにする.

平方剰余の相互法則

(ap)ap12(modp)

  1. (1p)=(1)p12

  2. (2p)=(1)p218

  3. p,qを奇素数とすると
    (pq)(qp)=(1)p12q12

p5でない奇素数とすると
(10p)10p122p125p12(2p)(5p)(modp)
よって
(10p)=1(2p)=(5p)=1,(2p)=(5p)=1
また
(p5)(5p)=(1)p12512=1
よって
(p5)=(5p)
したがって
(10p)=1(2p)=(5p)=(p5)
ここで
(2p)=1p±1(mod8)
(2p)=1p±3(mod8)
(p5)=1p±1(mod5)
(p5)=1p±3(mod5)
となるので
(10p)=1p±1,±3,±9,±13(mod40)
となる.
ここで
10X2Y2=±pY2±p(mod5)(p5)=1
5X22Y2=±p2Y2±p(mod5)(p5)=1
よって以下の命題を得る.

pを奇素数とする.
|10X2Y2|=pを満たす整数X,Yが存在するp±1,±9(mod40)
|5X22Y2|=pを満たす整数X,Yが存在するp±3,±13(mod40)

合成数についても考えてみると
10X2Y2=(10X+Y)(10XY)
5X22Y2=(5X+2Y)(5X2Y)
および
(10a+b)(10c+d)=(10ac+bd)+(ad+bc)10
(10a+b)(5c+2d)=(2ad+bc)5+(5ac+bd)2
(5a+2b)(5c+2d)=(5ac+2bd)+(ad+bc)10
より
(10a2b2)(10c2d2)=(10ac+bd)210(ad+bc)2
(10a2b2)(5c22d2)=5(2ad+bc)2+2(5ac+bd)2
(5a22b2)(5c22d2)=(5ac+2bd)210(ad+bc)2
したがって素因数が10X2Y2,5X22Y2の形で表すことができれば
合成数もできる.
逆に合成数が10X2Y2,5X22Y2の形で表すことができれば
奇数の素因数q5について
10X2Y20(modq)あるいは5X22Y20(modq)
となるのでX,Yを原始整数解とするといずれの場合も
(10q)=1
が成り立つ.
したがってq±1,±3,±9,±13(mod40)

(命題5)

bを正の整数とする.

  • |10X2Y2|=bを満たす整数X,Yが存在する
    bの素因数が±1,±9(mod40)
  • |5X22Y2|=bを満たす整数X,Yが存在する
    bの素因数が±3,±13(mod40)

0<b2<10の場合b=1,2,3
1032=1
5(2)22(3)2=2
5(1)22(1)2=3
例1の1と2はこれらの式より得られる.

bが偶数の場合は両辺を2で割ることができる.
b5の倍数の場合は両辺を5で割ることができる.
そこで5の倍数でない奇数だけを調べると

10<b2<100の場合b=7,9
710X2Y2,5X22Y2の形で表すことはできない.
1012=9
例1の3はこの式より得られる.

100<b2<1000の場合
10X2Y2,5X22Y2の形で表すことのできる奇数は
b=13,27,31
5(3)22(4)2=13
5(5)22(7)2=27
10(2)232=31
ただし例2で考察したように
b=10x2y2の場合はx10の倍数となり
b=5x22y2の場合はx5の倍数となる必要がある.
この観点から解を探索すると以下の解が見つかる.
5(105)22(166)2=13
5(55)22(87)2=13
10(20)2632=31
5(5)22(7)2=27
これらの式より以下の等式が得られる.
34862103+132=1102372
9572103+132=302632
2522103+312=79692
72103+272=2233

参考文献

[1]
高木 貞治, 初等整数論講義 第2版, 共立出版
投稿日:202338
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

tfshhiy
tfshhiy
8
1660

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中