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収束列の平均について

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次の命題はよく知られている:

任意の収束列(an)n=0,1,に対し,
limna0++ann+1=limnan.

これは次のように言い換えることができる.Nで非負整数の集合を表す.

N値確率変数の列 N0,N1,について,Nkの分布は{0,,k}上の一様分布Ukに従うとする.このとき任意の収束列(an)に対して
limkE[aNk]=limnan.

与えられたN値確率変数の列に対し,このような性質を持つための必要十分条件を与える.

N0,N1,N値確率変数の列とする.TFAE:
(い) 任意の収束列(an)に対してlimkE[aNk]=limnanである.
(ろ) 任意のnNに対してlimkP[Nk=n]=0である.
(は) 任意の有限部分集合ANに対してlimkP[NkA]=0である.

[(い)(ろ)]任意のn0Nをとる.このとき{n0}の定義関数δn0について,列(δn0(n))0に収束するので,
0=limkE[δn0(Nk)]=limkP[Nk=n0]
を得る.
[(ろ)(は)]limkP[NkA]=limknAP[Nk=n]=0
[(は)(い)](an)を任意の収束列とする.極限をαとして,列(anα)を考えることでα=0としてよい.収束列は有界であるので,M>0があって,任意のnNに対し|an|Mとできる.このとき任意のmNに対し
|E[aNk]|(n=0m+n>m)P[Nk=n]|an|MP[Nkm]+supn>m|an|P[Nk>m]
である.よって
limk|E[aNk]|supn>m|an|0(m)
を得る.

N値確率変数の列N0,が定理の3条件を満たすとする.このとき+に発散する実数列(an)に対してもlimkE[aNk]=+が成り立つ.実際,an>0としてよく,このときマルコフ不等式より,任意のm>0に対し
mP[aNkm]E[aNk]
を得る.よってlimkE[aNk]mを得る.
特に,期待値についてlimkE[Nk]=+が成り立つ.

与えられた数列(an)に対し,部分和sn=k=0nakの列(sn)を考える.N値確率変数Nについて,形式的に和を入れ替えれば
E[sN]=n=0P[N=n]k=0nak=k=0(n=kP[N=n])ak
となる.これはNが期待値を持つとき正当化される.

Nを期待値を持つN値確率変数とする.このとき任意の有界列(an)に対し,n=0k=0nP[N=n]akは絶対収束する.

|an|Mとして,
n=0k=0nP[N=n]|ak|Mn=0(n+1)P[N=n]<.

アーベルの連続性定理

γpを成功確率1pの幾何分布とする;
P[γp=n]=(1p)pn(nN).
(γp)p1のとき定理の条件(ろ)をみたす(正確にはpn1なる任意の列(pn)を考える).
n=kP[γp=n]=(1p)n=kpn=pk
である.よって部分和の列(sn)が収束するとき
n=0an=limp1E[sγp]=limp1n=0pnan
である.

投稿日:202338
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dnbkssk
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