一様重力場で物体をいくらかの仰角を以て投射すると、その物体の軌道は放物線となる。これは古典力学の中でもよく知られている現象である。
物体を斜方投射した時の様子
とある映画で、ペットボトルで作ったロケットに釣り糸をつないで飛ばすシーンがあった。釣り糸は回転計の備わったリール付きの釣り竿につながっており、回収を容易にするだけでなく、釣り糸がどのくらい引き出されたか、その長さが分かる仕組みになっていた。
これを見て、どのくらいの長さの釣り糸を用意すれば、釣り糸に邪魔されることなくこの実験を行うことができるのかが気になった。
今回はこの疑問を、初等的な微積分を用いて解明することにした。
この記事では以下を目標に議論を進める。
必要な釣り糸の長さの最小値が釣り糸の長さが仰角の大きさだけによることを示し、簡単に表す。
以下では、議論で用いる力学と数学の設定、公式等を列挙する。
時刻
時刻
仰角
積分定数を省略する。実数
まず、
力学公式より、
ゆえに、
これより、
を得る。
ここで、
よって、軌道の式は
とも書き換えられる。
放物線
よって、数学公式1より、
これを整理する。展開して平方完成すると次のようになる。
ここで、
ここで、放物線は軸対称なので、
これを
よって、数学公式2において、公式の
これが、この
前項の結果を用いる。
軌道の方程式
と前項で出てきた
を比較すれば、
斜方投射においては、仰角
これは、力学でもよく知られた事実であるし、前項の点
では、このときの釣り糸が最低いくらあれば良いだろうか。
前述の公式1を利用する。これに
式の形は複雑に見えるが、初等的な微積分が力学でどのように応用されるのかの一例が垣間見えて実に面白かった。
さらに面白いことに、釣り糸の長さを最大とする仰角
青線が物体の実際の軌道、赤線が
この赤いグラフに注目すると、
では、
いつか計算してみたい。