私がこの前投稿した、"The expanded series of multiple harmonic sums and multiple zeta values" という論文の解説記事です。
全文はこちらからご覧いただけます。
https://zenodo.org/record/7736712
それではさっそくいきましょう。
今回の目的は、多重調和和についての収束する級数展開を手に入れることです。
たとえば指数関数には
という級数展開があって、この表示から導ける数々の性質があります。それを多重調和和に適用しようというのが今回の目的です。
記法の紹介が終わったところで、主定理を証明しましょう。
許容インデックス
ここで、
両辺を差分作用素で計算すれば証明が完了する。まず、左辺は
を得る。従って
よって両辺は定数の差を除いて等しい。いま、
より証明は終了する。
Q.E.D.
これで主定理の証明は終わりました。
ですが、まだこれだけでは満足できません。謎の展開係数
次が成立:
両辺に差分作用素を適用する。左辺は
よく見ると同じ漸化式を満たしていることがわかる。
Q.E.D.
よって、
次が成立:
ここで、
とする。
許容インデックス
許容インデックス
予想を仮定すれば、MZV明示展開公式において
Q.E.D.
予想を仮定すれば双対性を導くことができますが、予想の仮定なしでも種々の結果が得られます。
主定理において、
Q.E.D.
主定理より、
Q.E.D.
次が成立:
次が成立:
コネクターと似た形が出現するのは面白いですね。
今回の記事では多重調和和の展開級数の明示公式を紹介しました。
誰かが予想を証明してくれたらうれしいです。
次が成立:
では最後まで読んでいただきありがとうございました。