導入
証明が気になったので,モノイドや群における指数法則を,累乗の帰納的定義のみを用いて示してみました.
で整数の全体を,で非負整数の全体を表します.
モノイドにおける指数法則
をモノイドとして,その演算をで表し,単位元をで表す.
とに対して,の元をと () により帰納的に定義する.
に対してである.
とを任意に取り,等式が成り立つことをに関する帰納法で示す.
なのでは成り立つ.
を任意に取る.が成り立てば,
となっても成り立つ (ではを用いた).
命題 1 の別証明
とを任意に取り,「をみたす任意のについて等式が成り立つ」という命題をで表し,に関する帰納法で示す.
となるはのみである.なのでは成り立ち,は成り立つ.
を任意に取り,が成り立つことを仮定する.をみたすを任意に取る.
- かつのときはとなってわかる.
- のときは,とに注意すれば,
となってわかる (ではを用いた).
よっても成り立ち,の任意性からも成り立つ.
群における指数法則
を群として,その演算をで表し,単位元をで表し,の逆元をで表す.は同じ演算 (と単位元) に関してモノイドをなすので,指数法則とその系はの元についても成立する.
とをみたすに対して,の元をで定義する.ここで,右辺に現れるは定義 1 で導入したものである.
定義 1 と定義 2 を合わせれば,とに対してが定まったことになる.
に対して,の逆元をで表し,定義 2 の意味でのをで表すとき,なので,の逆元は定義 2 の意味でのに等しいことがわかる.
を任意に取り,等式が成り立つことをに関する帰納法で示す.
は自身の逆元なのでであり,は成り立つ.
を任意に取る.が成り立てば,
となっても成り立つ (ではに対してが成り立つことを,とではそれぞれとを用いた.).
とを任意に取る.
- のときは,に注意すれば,
となってわかる (とではそれぞれとを用いた). - のときは,とに注意すれば,
となってわかる (とではそれぞれとを用いた).
- なのでは成り立つ.
- のときは,に注意すれば,の定義とからとなっては成り立つ.
- のときは,の定義からは成り立つ.
とを任意に取る.
- のときは命題 1 (指数法則 1) から従う.
- かつのときは,に注意すれば,となってわかる (ではを用いた).
- かつのときは,に注意すれば,
となってわかる (とではそれぞれとを用いて,ではを用いた). - のときは,とに注意すれば,
となってわかる (ではを用いた).