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大学数学基礎解説
文献あり

一年生の群論

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一年生の群論

代数学の最初に群論を学習することがほとんどだと思うが、群論というのはかなり初学者にとって学習が難しい分野だと思う。環、体と続く(必ずしも群→環→体論と説明されるわけではないと思うが)のがよくある流れであるが、群という初めにならう何かよくわからないものという印象があると、代数学の抽象性に一気に面食らう。そこで私は、この記事を通して、なるべく代数学の理解が初学者でも理解できるように
代数学に関する記事を書いていこうと思った。

個人的に好きなトピックを扱うため、必ずしも順番通りに説明するわけではないということをあらかじめ断っておきます。

それでは説明に入っていきます。

群とはそもそも何だろう?ある人曰く、それは対称性に関する学問だと、また教科書的に言えば、Gという集合に演算が入っているという風な表現がされる。
例えば、雪江代数1を見てほしい。

群の定義

Gを空集合ではない集合とする。G上の演算が定義されていて、次の性質を満たすとき
1単位元の存在 ae=ea=a
2逆元の存在 ab=ba=e
3結合法則 (ab)c=a(bc)

(正確な説明は省いたので各自、本を参照してほしい)

Gを群と呼ぶ

群とは要するに集合Gに、一つの演算が定義されていて、順当な性質を満たしているもののことだ。

こうした言葉で理解できる人はそれでよいのだが、そもそもここでいう演算というのは何算なのだろうか?僕たちは、四則演算というのを小学生以来当たり前のようにやってきたのだから当然四則演算に決まってる!世界には四則演算しかないだろ!!と怒りたくなるかもしれない。しかし、
結論から言うと、ここでの意味の演算の理解は、+だとか×だとか単なる記号から自由になったものであり、演算というよりも、ある集合の中にある要素を二つ取ってきたときに、どんな結果が出てくるか?というような構造に目を向けたものと考えたほうが良いと思う。(これは、化学の2H2+O2→2H2Oのようなものである。ここでは+という記号を使っているが、ここにおいても、むしろ大切なのは、水素と酸素から水が生成されるという要素と要素を何かしらしたら水ができるという結果の方だろう)
そもそも+と×という記号だって、頭を傾けてみれば、区別がないだろう(こんなことを言い出したらきりがないかもしれないが、大事なことだと思うので書いた)。

例えば、ハート算というのを以下のように定めてみる
A♡B=ABと書き、ABというのをAとBの積と呼びA,BだけでなくABもGの要素になっているというようにハート算という演算を定める。

このようにどんなデタラメな演算だろうと、Gという集合に1つの演算が定義されていて、
ある性質を満たしていれば、それを群というのだ。そしてそのある性質というのが、
これが先ほど引用した、”順当な性質”というやつにあたり、上記の3つの条件を満たすようなもののことである。

このように群の一側面として、演算を入れるというのは、特定の、とくにここでは僕たちにとってなじみ深い四則演算のうちの一つが入っているというよりも、演算の結果として現れる構造が保たれるか?という意識が重要であり、これが後々つながる準同型、同型という概念ともつながっていくことであり、一番最初に言った対称性の話にもつながる。

今回はここで終わり、次回は、図形やあみだくじと言ったより具体的なものを通じて、対称性や構造を保つということの理解を深めていけたらなと思う。

参考文献

[1]
雪江明彦, 代数学1 群論入門
投稿日:202346

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Mo
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