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大学数学基礎解説
文献あり

超幾何定理を利用した円周率の公式

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twitterで何度も擦ってる、超幾何級数から生まれた円周率の公式です。既出だったら教えてください。

目次

  1. 公式の内容
  2. 超幾何定理
  3. 証明1
  4. 証明2

公式の内容

円周率

π=3+n=1(2n1)!!2n+1(n+12)(n+1)!

この式を示すために、まず以下の式を証明します

相反公式・改

πsinπx=1Γ(x)n=0Γ(x+n)n!(xn)x>1,xZ

まず、超幾何級数について考えます。

超幾何定理

超幾何級数は、以下の形で表される多変数関数です。

超幾何級数

F(a,b,c;z)=n=0(a)n(b)n(c)nn!zn(a)n=a(a+1)(a+2)...(a+n1)=Γ(a+n)Γ(a)

超幾何定理

F(a,b,c;1)=Γ(c)Γ(cab)Γ(ca)Γ(cb)

超幾何級数についての説明は このサイト に載ってますので、ここではざっくり証明します。

超幾何級数は
F(a,b,c;z)=Γ(c)Γ(a)Γ(ca)01ta1(1t)ca1(1tz)bdt
というEuler積分で表されます。ここで、z=1を代入すると
F(a,b,c;1)=Γ(c)Γ(a)Γ(ca)01ta1(1t)ca1(1t)bdt=Γ(c)Γ(a)Γ(ca)01ta1(1t)cab1dt

実はこの積分、ベータ函数といって、ガンマ関数で表せちゃうんです!
B(x,y)=01tx1(1t)y1dt=Γ(x)Γ(y)Γ(x+y)
これをさっきの式に代入すると...
Γ(c)Γ(a)Γ(ca)B(a,cab)=Γ(c)Γ(a)Γ(ca)Γ(a)Γ(cab)Γ(cb)F(a,b,c;1)=Γ(c)Γ(cab)Γ(ca)Γ(cb)

これで、超幾何定理が示せました。
では、いよいよ公式の証明をしましょう。

証明1

まず、超幾何級数にa=b=-x,c=1-x,z=1を代入
すると
F(x,x,1x;1)=n=0(x)n2(1x)nn!(x)n2(1x)nn!=1n!Γ(1x)Γ(1x+n)Γ(x+n)2Γ(x)2   =xΓ(x+n)n!(x+n)Γ(x)F(x,x,1x;1)=xΓ(x)n=0Γ(x+n)n!(x+n)...
また、超幾何定理より
F(x,x,1x;1)=Γ(1x)Γ(1+x)Γ(1)Γ(1)=xΓ(x)Γ(1x)...
ここで、相反公式を使います。

相反公式

Γ(x)Γ(1x)=πsinπx(xZ)

すると②は
F(x,x,1x;1)=πxsinπx...
①,③より
πxsinπx=xΓ(x)n=0Γ(x+n)n!(xn)πsinπx=1Γ(x)n=0Γ(x+n)n!(xn)
今回は抵触しないので、範囲については割愛させていただきます。
ここまできたら、あとは簡単なお仕事です。

証明2

先ほどの式にx=1/2を代入すると...
π=1Γ(12)n=0Γ(12+n)n!(12n)
ガンマ関数の特殊値
Γ(12)=πΓ(12+n)=(2n1)!!2nπΓ(12n)=(2)n(2n1)!!π
より、
π=1Γ(12)n=0Γ(12+n)n!(12n)  =12πn=0Γ(12+n1)n!(n12)  =12π(4π+2π+n=21n!(n12)(2n3)!!π2n1)  =3+12n=21n!(n12)(2n3)!!2n1
最後に、形をきれいにすると
π=3+n=1(2n1)!!2n+1(n+12)(n+1)!
これで円周率の式が導けました!!!
ほかにも、公式2に3/2を代入すれば
π=3712+34n=1(2n1)!!2n(n+12)(n+2)!
という式が得られます。
(本当はこれのはずだったのに勘違いしてたなんて口が裂けても言えない)
こっちのほうが収束が速いので、もしかしたら入れる値を大きくすれば収束の速さが速くなるかもしれません。わかる方がいたら教えていただければ幸いです。

読んでいただきありがとうございました!!

参考文献

投稿日:202346
更新日:20231112
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かくことは あれども筆は 進まぬか コマンド打つのが 割とめんどい

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