※本記事は, 既に別所で投稿した内容 をMathlogのために書き直したものです.
本記事では,次に示す命題の証明を与える.
$(X,d)$を可分距離空間,$A$を$X$の部分集合とする.このとき,$A$は相対位相に関して可分である.
以下,$r>0, x\in X$に対して$B_r(x)=\{y\in X:d(x,y)< r\}$と定める.
$E$を$X$の可算稠密部分集合とする.このとき$\mathcal{B}=\{B_{\frac{1}{n}}(e):n=1,2,\cdots;e\in E\}$は可算であり,かつ任意の$x\in X$および$x$を要素に持つ$X$の開集合$U$に対して$x\in B_{\frac{1}{n}}(e)\subseteq U$を満たす$B_{\frac{1}{n}}(e)\in\mathcal{B}$が存在する.
任意の$x\in X$および$x$を要素に持つ$X$の開集合$U$に対して,開集合の定義より,$x\in B_r(x)\subseteq U$を満たす$r>0$が存在する.よって,特に$rN>1$を満たす$N\in\mathbb{N}$に対して$x\in B_\frac{1}{N}(x)\subseteq U$が成り立つ.一方,$E$は$X$の稠密部分集合であるから$E\cap B_\frac{1}{2N}(x)\neq\varnothing$である.そこで,$e\in E\cap B_\frac{1}{2N}(x)$をひとつ選ぶと$d(e,x)<\frac{1}{2N}$より$x\in B_\frac{1}{2N}(e)$である.さらに,任意の$y\in B_\frac{1}{2N}(e)$に対して
$$d(x,y)\leq d(x,e)+d(e,y)<\frac{1}{2N}+\frac{1}{2N}=\frac{1}{N}< r$$
より$y\in B_r(x)\subseteq U$すなわち$y\in U$である.よって$x\in B_\frac{1}{2N}(e)\subseteq U$が成り立つ.
そこで$\mathcal{B} _A=\{B\cap A:B\in\mathcal{B}\}$と定めると,$\mathcal{B} _A$は可算であり,かつ任意の$a\in A$および$a$を要素に持つ$A$の開集合$U\cap A$に対して$a\in B _a\subseteq U\cap A$を満たす$B _a\in\mathcal{B} _A$が存在する.
$a\in U$より$a\in B_{\frac{1}{n}}(e)\subseteq U$を満たす$B_{\frac{1}{n}}(e)\in\mathcal{B}$が存在し,このとき$a\in B_{\frac{1}{n}}(e)\cap A\subseteq U\cap A$である.
空でない各$B\in\mathcal{B} _A$に対して$a _B\in B$をひとつ選び,$D=\{a _B:B\in\mathcal{B} _A\}$とおく.このとき,$D$は$A$の可算稠密部分集合である.
任意の$a\in A$および$n\in\mathbb{N}$に対して$a\in B_a^{(n)}\subseteq B_\frac{1}{n}(a)\cap A$を満たす$B_a^{(n)}\in\mathcal{B} _A$が存在する.そこで,各$n$に対して$B _a^{(n)}$に対応する$D$の元を$a_n$とすれば,$a_n\in B_a^{(n)}\subseteq B_\frac{1}{n}(a)\cap A$ゆえ点列$\{a_n\} _{n=1}^\infty$は$a$に収束する.
以上より,$A$ は相対位相に関して可分である.