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Lebesgue測度の構成と正則性定理

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外測度から1次元Lebesgue測度を定義し、その正則性を証明する。

μ(A):=inf{i=1(biai)Ai=1[ai,bi),ai<bi}(AR)をLebesgue外測度という。
任意のARに対して、
μ(A)=μ(AB)+μ(AB)
を満たすようなBRをLebesgue可測集合といい、Lebesgue可測集合全体をMμと表す。

μ:2RRに対して次が成り立つ。
(1) μ(A)0
(2) μ()=0
(3) AnR(nN)のとき、μ(iNAi)iNμ(Ai)
(4) ABRのとき、μ(A)μ(B)

(1),(2),(4)は明らか。
(3)μ(Ai)=iNが存在するときは明らかなので、μ(Ai)<(iN)として良い。任意のε>0に対して、
AijN[ai,j,bi,j),μ(Ai)+ε2i>jN(bi,jai,j)(iN)
となるように区間の列{[ai,j,bi,j)}i,jNをとる。このとき、
iNAii,jN[ai,j,bi,j),iNμ(Ai)+ε>i,jN(bi,jai,j)
であるからμ(iNAi)iNμ(Ai)+εである。εの任意性よりμ(iNAi)iNμ(Ai)である。

Mμσ-加法族である。

  • 任意のARに対して、
    • AR=A=A,
    • A=AR=
      となるので、$\mu^*(\varnothing)=0(\because 命題1(2))$と合わせて、
    

μ(A)=μ(AR)+μ(AR)=μ(A)+μ(A))となる。よって,RMμ

  • EMμとする。このとき任意のARに対して、
    μ(A)=μ(AE)+μ(AE)=μ(AEc)+μ(AEc)となるのでEcMμ
  • E,FMμとする。任意のARに対して、
    μ(A)=μ(AF)+μ(AF)=μ((A(EF))F)+μ(AEFc)+μ(AEcFc)=μ(A(EF))+μ(A(EF)c)(AEFc=(A(EF))Fc)より、EFMμ。また、EF=(EcFc)cMμも成り立つ。
  • 可算個のEnMμ(nN)に対して、E=iNEi,En=En1in1Ei(nN)
    とするとEnMμ,iNEi=E,EiEj=(ij)となる。よってEMμを示すために、はじめからEiEj=(ij)であるとして良い。このとき任意のARに対して、
    μ(AE)+μ(AEc)=μ(iN(AEi))+μ(A(iNEi)c)iNμ(AEi)+infjNμ(A(i=1jEi)c)(1(3),(4))=iNμ(AEi)+infjN[μ(A)μ(i=1jAEi)](i=1jEiMμ)=iNμ(AEi)+infjN[μ(A)i=1jμ(AEi)]({En}nN)=μ(A)μ(AE)+μ(AEc)(1(3))μ(A)=μ(AE)+μ(AEc)
    よってEMμ

μMμに制限したものをμとする。

μは可測空間(R,Mμ)の測度となる。

  • μ()=μ()=0
  • 非交可測集合E,Fに対して、
    μ(EF)=μ(EF)=μ(E)+μ(F)=μ(E)+μ(F)である。
  • 互いに素な可測集合の列{En}nNに対して、E=iNEiとするとき、μ(E)=iNμ(Ei)となることを示す。μ(E)iNμ(Ei)となることは命題1(3)よりわかるので、逆の不等式を示す。
    iNμ(Ei)=supjNi=1jμ(Ei)=supjNμ(i=1jEi)μ(E)

μを1次元Lebesgue測度という。

正則性

(X,O)をHausdorff空間とし、(X,Σ,ν)OΣとなるような測度空間とする。このとき、AΣが正則であるとは
ν(A)=sup{ν(K)|KA,K}=inf{ν(G)|AG,G}となることをいう(Kにコンパクト性までは課さず単に閉集合とする文献もある)。そして、νが正則であるとは全ての可測集合が正則となることをいう。

ここでは1次元Lebesgue測度μが正則となることを示す。

任意のARに対して、
μ(A)=inf{iN(biai)AiN(ai,bi)}

m=inf{iN(biai)AiN(ai,bi)}と置く。μ(A)mとなることは容易にわかるので、μ(A)mを示す。任意のε>0に対して、
AiN[ai,bi),μ(A)+εiN(biai)となるような区間の列{[an,bn)}nNをとる。このとき、AiN(aiε2i,bi)であるから、
miN(biai+ε2i)μ(A)+2εである。εの任意性よりμμ(A)

RのBorel集合族をBRとするとBRMμ

E={(,a)|aR}とすると、BR=σ[E]であるからEMμを示せば十分である。任意にaRをとり、(,a)Mμとなることを示す。任意のARをとる。任意のε>0に対して、
AiN[ai,bi),μ(A)+ε>iN(biai)となるようなai,biRをとる。このとき、
A(,a)iN[ai,bi)(,a),A[a,)iN[ai,bi)[a,)
である。よって、
μ(A(,a))+μ(A[a,))iN|[ai,bi)(,a)|+iN|[ai,bi)[a,)|=iN(|[ai,bi)(,a)|+|[ai,bi)[a,)|)=iN|[ai,bi)|<μ(A)+ε
となる(ただし、|[x,y)|:=yx)。εの任意性より
μ(A(,a))+μ(A[a,))μ(A)μ(A(,a))+μ(A[a,))
であるから結局(,a)Mμである。

  • \mu({0})=0である。実際、任意のε>0に対して、{0}[0,ε)であるからμ({0})<ε
  • μ([0,1])=1である。
    )μ([0,1])1は明らかなのでμ([0,1])1を示す。任意のε>0に対して、命題4より、
    [0,1]iN(ai,bi),μ([0,1])+ε>iN(biai)となる区間の列{(an,bn)}nNが存在する。[0,1]はコンパクトなので[0,1]i=1l(ai,bi)となるlNが存在する。必要であれば、適当なmlをとり、区間の順番を入れ替えて0(a1,b1),bk(ak+1,bk+1)(k=1,2,...,m1),bm1<1,1(am,bm)となるようにする。このとき、
    1=b1+i=2m1(bibi1)+(1bm1)i=1m(biai)i=1(biai)μ([0,1])+ε
    となる。εの任意性よりμ([0,1])1
  • 同様にμ([n,n])=2n(nN)

μは正則である。

任意にEMμε>0をとる。各nZに対して、En:=E(n,n+1)Mμと定める。すると、命題4より

  • EnGn(n,n+1)(nZ),
  • μ(En)+ε2|n|>μ(Gn)(nZ),
  • ZG,
  • μ(G)<ε

となる開集合Gn(nZ),Gが存在する。このとき、
μ((GiZGi)E)μ(G)+μ(iZ(GiEi))=μ(G)+iZμ(GiEi)<4ε
である。Ecに関しても同様にして、
EcG,μ(GEc)<4ε
となる開集合Gが取れる。特にGEc=EGcであることから、μ(EGc)<4εである。εの任意性より、
sup{μ(F)|FE,F}μ(E)inf{μ(G)|EG,G}
である。逆の不等式は明らかだから、
sup{μ(F)|FE,F}=μ(E)=inf{μ(G)|EG,G}
となる。任意の閉集合Fに対して、F[n,n]F(nN)はコンパクトでμ(F[n,n])μ(F)(n)であるから、sup{μ(F)|FE,F}=sup{μ(F)|FE,F}
である。よって、μは正則である。

投稿日:202348
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