これは私の備忘録なので、まとまってないし読まないほうがいいです。随時加筆します。
因果構造の分析においてchronological relation $I^\pm$やcausal relation $J^\pm$は基本的ですが、古典物理においても以下のように少々不満な点があります。
これらのことから導入されたのがalmost causal relationです。この記事の目的はalmost causal relationを基本事項をまとめることです。
時空$(M,g)$において、$p,q\in M$に対して、$p$が$q$にほとんど因果的に先行する($p$ almost causaly preceeds $y$)とは、$p$の任意の近傍が$q$の任意の近傍に含まれる点(少なくとも一つ存在すればよい)に対して、chronologicalに先行していることである。
すなわち任意の$U\ni p,V\ni q$に対して、ある$p'\in U,q'\in V$が存在し、$q'\in I^+(p')$を満たすときを言う。このとき$pAq$と書く。
$pAq$の同値な定義として次がある。
$pAq$であるとは、任意の$p^-\in I^-(p)$に対して、$I^+(p^-)\supset I^+(q)$となることである。
(または任意の$q^+\in I^+(q)$に対して、$I^-(q^+)\supset I^-(p)$と定めても同値である。)
同値であることの証明
定義1$\Rightarrow$定義2
任意の$p^-\in I^-(p)$に対して、$I^+(p^-)$は$p$の近傍である。同様に任意の$q^+\in I^+(q)$に対して、$I^-(q^+)$は$q$の近傍である。定義1より$p'\in I^+(p^-),\ q'\in I^-(q^+)$があって$p'<< q'$となる。よって、$p^-<< p'<< q'<< q^+$となるから$I^+(p')\subset I^+(q')$である。$I^-(q^+)\supset I^-(p)$も同様である。
定義2$\Rightarrow$定義1
$p$の任意の近傍を$U$とし、$q$の任意の近傍を$V$とする。$p^-\in I^-(p,U)$に対して、$I^+(p^-)\subset I^+(q)$であるから、$I^+(p^-)\subset I^+(q,V)$であるから定義1が成り立つ。
$ y\in A^+(x)\Leftrightarrow x\in A^-(y)$
自明
$ A^+(p)$は閉集合である。
$ \{q_n\}\in A^+(p),q_n\to q$とする。
任意の$ q^+\in I^+(q)$に対して、$ q_n\in I^-(q^+)$(for large n)である。
任意の$ p^-\in I^-(p)$に対して、$ p^-<< p_n<< q^+$であるから、$ I^+(q^+)\subset I^+(p^-)$である。
$ int(A^+(p))=\uparrow I^-(p)$
$ int(A^+(p))\supset\uparrow I^-(p)$は明らかである。
$ int(A^+(p))\subset\uparrow I^-(p)$を示す。
$q\in int(A^+(p))$とすると、$q\in U\subset A^+(p)$となる近傍$U$が存在する。$q^-\in I^-(q,U)\subset A^+(p)$を取ると、任意の$p^-\in I^-(p)$に対して、$I^+(q)\subset I^+(q^-)\subset I^+(p^-)$となるから$q\in\uparrow I^-(p)$である。
点列$ \{p_n\}\in I^-(p),\ p_n\to p$に対して、
$ A^+(p)=\bigcap_{n=1}^\infty\overline{I^+(p_n)}=\bigcap_{n=1}^\infty\overline{J^+(p_n)}$
$ A^+(p)\supset\bigcap_{n=1}^\infty\overline{I^+(p_n)}$を示す
$ y\in\bigcap_{n=1}^\infty\overline{I^+(p_n)}$とすると、$ y\in \overline{I^+(p_n)}$である。よって$ I^+(y)\subset I^+(p_n)$である。$ \forall x\in I^-(p)$に対して、$ I^+(x)$は$ p$の近傍なので、$ p_n\in I^+(x)$ (for large n)である。よって$ I^+(y)\subset I^+(p_n)\subset I^+(x)$なので$ y\in A^+(p)$となる。
$ A^+(p)\subset\bigcap_{n=1}^\infty\overline{I^+(p_n)}$を示す
$ \forall q\in A^+(p)$に対して、$ I^+(q)\subset I^+(p_n)$である。よって$ \overline{I^+(p_n)}=\{x\in M;\ I^+(x)\subset I^+(p_n)\}$であるから、$ q\in\overline{I^+(p_n)}$である。