この記事では「代数的数の和、積は再び代数的数となる」という定理の別証明を考え、そのいくつかのアナロジーを考えていきます。
一般的には以下のような証明がよく知られています。
代数的数の和、積は再び代数的数となる。
なる有理数
を縦に並べたベクトルを
が成り立つ。したがって
を満たすことがわかる。
そして今回考えるのは以下のような証明となります。
を縦に並べたベクトルをそれぞれ
このとき
に注意すると、上と同じく適当な次数下げによって
なる
が存在して
を満たすことがわかる。
前者では
しかし後者においては「
数列
とし、
を、
を縦に並べたベクトルをそれぞれ
このとき
に注意すると、適当な次数下げ(添え字下げというべきか)によって
なる
が存在して
を満たすことがわかる。
関数
を、
を縦に並べたベクトルをそれぞれ
このとき
に注意すると、やはり適当な次数下げ(階数下げ)によって
なる
が存在して
を満たすことがわかる。
上で示された主張を見て、だから何だと思うかもしれません。
しかし
が成り立つ。
ざっくりと説明する。
まず左辺を
なる
また
はその特性指数から三次元となることがわかるので、
特に
を得る。
いま
に対応するリーマン図式は
であることに注意すると、両辺の
と表せるので、それぞれの
を得る。
ちなみに特性指数
という等式も得られます。
一見ちゃんと証明しているように見えますが、一般にリーマン図式から元の微分方程式は復元できずアクセサリー・パラメーターと呼ばれる不定項が出てきます。したがってより厳密にはリーマン図式の等号だけではなくアクセサリー・パラメーターの一致まで確認しなければならないことに注意してください。
はい。
微分作用素を
とおくと
こういう代数方程式、漸化式、微分方程式の和や積についてのアナロジーの裏には何か面白い理論がありそうですが、どうなんでしょう。とりあえず雑学程度に思っておけばいいと思います。