24

漸化式の問題の作り方のお話

3448
0

はじめに

この記事では, 漸化式の問題の作り方についてお話しようと思います.

実は, 簡単に難しい漸化式の問題を作れてしまう方法があるんです!

簡単に難しい問題が作れると言えば, 不定積分の問題ですね. 適当な関数を微分してやれば, なかなか難しい問題を手軽に作ることができます.

漸化式

ところで, 漸化式を解くというのは, 不定積分を求めるのと似たようなことをしています. その理由を説明していきます.

例えば, 次のような漸化式の問題があったとします.

an+1=3an+2

これを解く際に, このような変形をします.

(an+1+1)=3(an+1)

ここから, これは等比数列で...のように議論を進めるのが一般的だと思いますが, これをさらに次のように変形してみます.

an+1+13n+1=an+13n

即ち, 記号Δnに関する差分を表すとして

Δ(an+13n)=0

このようにして定数列の形にすることが, 漸化式を解くことの本質と考えることができます.

こう考えると, (あたりまえではありますが) 漸化式からΔ(f(n))=0 なるf(n)を求める必要があるわけで, これが「微分して被積分関数になる関数を求める」という不定積分と全く同じであるということです.

従って, 先にこのf(n)を決めてから漸化式を作れば, 簡単に難しい問題を作ることができます.

では実際にやってみましょう.

例題1.

f(n)=(n1)an+12n としてみましょう. ただしa1=1とします. すると,

Δ(f(n))=0nan+1+12n+1=(n1)an+12nnan+1+1=2(n1)an+2an+1=2(11n)an+1n

となりました. この漸化式の解は,

(n1)an+12n=(11)a1+12=12an=2n11n1   (n2)となります.

例題2.

今度は, f(n)=an+1an+1 としてみます. これは3項間漸化式となるので, a1=1, a2=2としておきます. すると,

Δ(f(n))=0an+2an+1+1=an+1an+1an+2=an+12+an+1an+1

となりました. この漸化式の解は,
an+1an+1=a2a1+1=1an+1=an+1an=nとなります.

例題3.

最後に, f(n)=an+1n(n1)! としてみます. a1=1です. すると,

Δ(f(n))=0an+1+1n+1n!=an+1n(n1)!an+1+1n+1=n(an+1n)an+1=nan+nn+1

となりました. この漸化式の解は
an+1n(n1)!=a1+10!=2an=2(n1)!1nとなります. 面白いですね.

まとめ

以上の結果をまとめると, 次のようになります.

(1) an+1=2(11n)an+1n,   a1=1(2) an+2=an+12+an+1an+1,   a1=1, a2=2(3) an+1=nan+nn+1,   a1=1

みなさんも, いろいろなf(n)を使って, 変な漸化式の問題を作ってみてください.

それでは, ありがとうございました.

投稿日:20201110
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

東大理数B4です

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. はじめに
  2. 漸化式
  3. 例題1.
  4. 例題2.
  5. 例題3.
  6. まとめ