この記事では, 漸化式の問題の作り方についてお話しようと思います.
実は, 簡単に難しい漸化式の問題を作れてしまう方法があるんです!
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簡単に難しい問題が作れると言えば, 不定積分の問題ですね. 適当な関数を微分してやれば, なかなか難しい問題を手軽に作ることができます.
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ところで, 漸化式を解くというのは, 不定積分を求めるのと似たようなことをしています. その理由を説明していきます.
例えば, 次のような漸化式の問題があったとします.
$$a_{n+1}=3a_n+2$$
これを解く際に, このような変形をします.
$$(a_{n+1}+1)=3(a_n+1)$$
ここから, これは等比数列で...のように議論を進めるのが一般的だと思いますが, これをさらに次のように変形してみます.
$$\displaystyle\frac{a_{n+1}+1}{3^{n+1}}=\frac{a_n+1}{3^n}$$
即ち, 記号$\Delta$で$n$に関する差分を表すとして
$$\displaystyle\Delta\bigg(\frac{a_n+1}{3^n}\bigg)=0$$
このようにして定数列の形にすることが, 漸化式を解くことの本質と考えることができます.
こう考えると, (あたりまえではありますが) 漸化式から$\Delta\big(f(n)\big)=0$ なる$f(n)$を求める必要があるわけで, これが「微分して被積分関数になる関数を求める」という不定積分と全く同じであるということです.
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従って, 先にこの$f(n)$を決めてから漸化式を作れば, 簡単に難しい問題を作ることができます.
では実際にやってみましょう.
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$\displaystyle f(n)=\frac{(n-1)a_n+1}{2^n}$ としてみましょう. ただし$a_1=1$とします. すると,
$$\begin{eqnarray*} &&\Delta\big(f(n)\big) = 0 \\ &\Leftrightarrow& \frac{na_{n+1}+1}{2^{n+1}}=\frac{(n-1)a_n+1}{2^n} \\ &\Leftrightarrow& na_{n+1}+1=2(n-1)a_n+2 \\ &\Leftrightarrow& a_{n+1}= 2\Big(1-\frac1n\Big)a_n+\frac1n \end{eqnarray*}$$
となりました. この漸化式の解は,
$$\begin{eqnarray*}
&&\frac{(n-1)a_n+1}{2^n}=\frac{(1-1)a_1+1}{2}=\frac12\\
&\Leftrightarrow&a_n=\frac{2^{n-1}-1}{n-1}\ \ \ (n\geqq2)\end{eqnarray*}$$となります.
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今度は, $\displaystyle f(n)=\frac{a_{n+1}}{a_n+1}$ としてみます. これは$3$項間漸化式となるので, $a_1=1,\ a_2=2$としておきます. すると,
$$\begin{eqnarray*} &&\Delta\big(f(n)\big) = 0 \\ &\Leftrightarrow&\frac{a_{n+2}}{a_{n+1}+1}=\frac{a_{n+1}}{a_n+1}\\ &\Leftrightarrow& a_{n+2}=\frac{a_{n+1}{}^2+a_{n+1}}{a_n+1} \end{eqnarray*}$$
となりました. この漸化式の解は,
$$\begin{eqnarray*}
&&\frac{a_{n+1}}{a_n+1}=\frac{a_2}{a_1+1}=1\\
&\Leftrightarrow& a_{n+1}=a_n+1 \\
&\Leftrightarrow& a_n=n
\end{eqnarray*}$$となります.
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最後に, $\displaystyle f(n)=\frac{a_n+\frac1n}{(n-1)!}$ としてみます. $a_1=1$です. すると,
$$\begin{eqnarray*} &&\Delta\big(f(n)\big) = 0 \\ &\Leftrightarrow&\frac{a_{n+1}+\frac1{n+1}}{n!}=\frac{a_{n}+\frac1n}{(n-1)!}\\ &\Leftrightarrow& a_{n+1}+\frac1{n+1}=n\Big(a_n+\frac1n\Big) \\ &\Leftrightarrow& a_{n+1}=na_n+\frac{n}{n+1} \end{eqnarray*}$$
となりました. この漸化式の解は
$$\begin{eqnarray*}
&&\frac{a_n+\frac1n}{(n-1)!}=\frac{a_1+1}{0!}=2\\
&\Leftrightarrow& a_n=2(n-1)!-\frac1n
\end{eqnarray*}$$となります. 面白いですね.
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以上の結果をまとめると, 次のようになります.
$\begin{eqnarray*} &&(1)\ a_{n+1}= 2\Big(1-\frac1n\Big)a_n+\frac1n,\ \ \ a_1=1 \\ &&(2)\ a_{n+2}=\frac{a_{n+1}{}^2+a_{n+1}}{a_n+1},\ \ \ a_1=1,\ a_2=2\\ &&(3)\ a_{n+1}=na_n+\frac{n}{n+1},\ \ \ a_1=1 \end{eqnarray*}$
みなさんも, いろいろな$f(n)$を使って, 変な漸化式の問題を作ってみてください.
それでは, ありがとうございました.
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