今回の目的としては, 定数係数2階同次線形微分方程式における一般解の定理を証明し, 少しでも理解を深めることにある. 定数係数2階同次線形微分方程式の一般解は3パターンにわかれ, ただ暗記して問題を解くのは一苦労なので, その違いを軽く理解出来たらよいと思う.
定数係数2階同次線形微分方程式の一般解を求める際の定理は次のように示されている.
定数係数2階同次線形微分方程式($a,b$は定数)
$$y''+ay'+by=0$$
の一般解は, 特性方程式
$$s²+as+b=0$$
の解の性質に従って, 次の式で与えられる. ($A,B$は任意定数)
$(1)$ 2重解$ \alpha $をもつ $ \Longrightarrow y=e^{ \alpha x} (Ax+B)$
$(2)$ 異なる実数解 $\alpha, \beta $をもつ $\Longrightarrow y=Ae^{ \alpha x} +Be^{ \beta x}$
$(3)$ 共役な虚数解$λ±iμ$をもつ $ \Longrightarrow y=e^{ λx}(A \sin{μx}+B\cos{μx})$
また, 今回の証明では微分方程式の一般解の定理2を使用する.
微分方程式 $ \frac{d²y}{dx²}=ky $の一般解は次の形で表される.
$k=0$の場合, $y=Ax+B$
$k>0$の場合, $k=c²$と置けば $y=Ae^{cx}+Be^{-cx}$
$k>0$の場合, $k=-c²$と置けば $y=A\sin{cx}+B\cos{cx}$
$a, b$を定数とし$r(x)$が$x$の関数であるとき, $y''+ay'+by=r(x)$の形の方程式を定数2階線形微分方程式という. ここで$r(x)=0$のとき, 定数係2階同次線形微分方程式という.
そのため定数係数2階同次線形微分方程式は
$$y''+ay'+by'=0 \cdots(4)$$
と表すことができる.
方程式$(4)$に対して, $s$についての2次方程式
$$s²+as+b=0 \cdots(5)$$
をその特性方程式という.
その判別式を$D=a²-4b$とし, $ \sqrt{|D|}= \sqrt{|a²-4b|}=c$と置けば, 特性方程式の解$ \alpha , \beta$は次の式で与えられる.
$D=0 \Longrightarrow \alpha , \beta= \frac{-a}{2}$(二重解)
$D>0 \Longrightarrow \alpha = \frac{-a+c}{2}, \beta = \frac{-a-c}{2}$(異なる実数解)
$D<0 \Longrightarrow \alpha = \frac{-a+ci}{2}, \beta = \frac{-a-ci}{2}$(共役な虚数解)
方程式$(4)$から定理2の形の微分方程式を導くために, $u,v$を$x$の関数として
$$y=uv$$
とおく.
$$y'=u'v+uv', \quad y''=u''v+2u'v'+uv''$$
であるから, これらを方程式$⑷$に代入すれば
$$uv''+(2u'+au)v'+(u''+au'+bu)v=0 \cdots(6)$$
となる.
このとき, 第2項で$2u'+au=0$となるように, $u= e^{- \frac{ax}{2}} $ と取れば, 第3項の$v$の係数は $u''+au'+bu=- \frac{1}{4}(a^2-4b) e^{- \frac{ax}{2}} $ となる.
したがって, 方程式$(6)$は$v$についての方程式
$$v''- \frac{1}{4}(a^2-4b)v=0 \cdots(7)$$
になる. これは定理2の形の微分方程式である.
$D=a²-4b=0$のとき, 方程式$(7)$の一般解は定理2より$v=Ax+B$である($A,B$は任意定数).
これに$u$-の式をかけて方程式$(4)$の一般解は$y= e^{\frac{ax}{2}}(Ax+B)$である.
$e$の指数に現れる-$ \frac{a}{2} $は特性方程式$(5)$の2重解$ \alpha $であるため, $y= e^{ \alpha x} (Ax+B)$となる…$(1)$
$D=a²-4b>0$のとき, $\sqrt{a²-4b}=c(c>0)$と置けば, 方程式$(7)$の一般解は $y=Ae^{ \frac{cx}{2}} +Be^{ - \frac{cx}{2}}$である( $A,B $は任意定数).
よって, 方程式$(4)$の一般解は$y=e^{-\frac{ax}{2}}\left(Ae^{ \frac{cx}{2}} +Be^{ - \frac{cx}{2}}\right)=Ae^{ \frac{-a+c}{2}} +Be^{ \frac{-a-c}{2}}$である.
$e$の指数に現れる$\frac{-a+c}{2}, \frac{-a-c}{2}$は特性方程式$(5)$の異なる実数解$ \alpha , \beta $であるため, $y=Ae^{ \alpha x} +Be^{ \beta x}$となる…$(2)$
$D=a²-4b<0$のとき, $\sqrt{4b-a²}=c$と置けば, 方程式$(7)$の一般解は$v=A\sin{\frac{c}{2}x}+B\cos{\frac{c}{2}x} $である.
よって, 方程式$(4)$の一般解は$y=e^{-\frac{ax}{2}}\left(A\sin{ \frac{cx}{2}}+B\cos{ \frac{cx}{2}}\right)$である.
$e$の指数に現れる$-\frac{a}{2}$は特性方程式$(5)$の実数部分であり, 三角関数の中に現れる$ \frac{c}{2} $は解の虚数部分である. そのため, $y=e^{ λx}\left(A\sin{μx}+B\cos{μx}\right)$となる…⑶
今回の証明はテキストやネット記事などを読みながら作成させていただきました.