概要
標本分散は,偏差の平方和を標本数で割った値です.一方,不偏分散は,偏差の平方和をで割った値です.この記事では,不偏分散が母分散の不偏推定量であることを証明します.
標本平均と標本分散の定義と性質
標本の標本平均はで定義されます.またと書いての平均を表し,特にはのことです.
の標本分散はで定義されます.このとき次の定理が成り立ちます.
一方,の不偏分散はで定義されます.すなわちです.
期待値と分散に関する公式
期待値と分散の定義と性質は,
この記事
に詳しく書かれています.このうち,今回特に重要なのがという式です.これは変形するととなり,の期待値を求めるのに使えます.
不偏分散の不偏性
個の確率変数について,次のような仮定をおきます.
- 期待値が全て等しい:
- 分散が全て等しい:
- どの異なる2つも無相関:
このとき,の期待値と分散は次のように計算できます.
よって,の期待値はとなります.
一方,についての期待値はなので,の期待値はとなります.
これらを用いると,次の定理が得られます:
以上より,不偏分散が不偏推定量であることが証明できました.