自由度の分布
を確率変数とすると,も確率変数である.それぞれの確率密度関数を,とすると,定数()について が成り立つ.両辺をで微分して
ここで,が標準正規分布に従うときであるから,の範囲におけるの確率密度関数は
これは後述する分布の,自由度の場合である.つまり,が標準正規分布に従うとき,は自由度の分布に従う.
関数と関数
関数は実数()に対し次の式で定義される関数である.
を代入すると
を代入すると
の場合から推測される通り,が以上の自然数のときのの値は部分積分によって求めることができる.実際にを代入してみるとという式が得られる.これは関数と階乗の間にという関係が成り立つ,すなわち関数が階乗の一般化であることを表している.
また,関数は,実数,(,)に対し次の式で定義される関数である.
関数と関数の関係
の定義式においてという置換を行う.であり,はからまで動くから
また,の定義式においてという置換を行う.であり,はからまで動くから
これら2つの置換積分を用いて,2つの関数の積を考える.
ここで,という置換を行う.であり,はからまで,はからまで動くから
これはよく見るととの積である.これより,関数と関数の関係式が得られた.
また,ここで登場した関数の置換積分を用いると,の値を求めることができる.
ただしガウスの公式を用いた.
分布
独立な確率変数が全て標準正規分布に従うとする.このとき,が従う分布を自由度の分布といい,と書く.
の確率密度関数は,において次のように表される.
のときはである.
このことは数学的帰納法によって証明できる.
のときはであるから,冒頭で示した通りにおいてとなり成り立っている.
のときに成り立っていると仮定すると,の確率密度関数は,において
積分の部分は,とおくとよりと変形できるから,となり,のときも成り立っている.よって数学的帰納法により示された.