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奈良素敵大学模試(自作模試)大問3〜解説〜

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問題

座標空間に異なる3点$A(a,b,c),B(b,c,a),C(c,a,b)$をとり原点を$O$とする。三角錐$O$-$ABC$の体積は$9$であり、$a,b,c$はすべて正であるとする。
(1)$a+b+c=6$かつ$a,b,c$が実数のとき、$abc$の最大値を求めよ。また、$a-b$の最大値を求めよ。
(2)$a\leq b\leq c$かつ$a,b,c$が自然数のとき、$a,b,c$の値の組$(a,b,c)$をすべて求めよ。

まだ解いていない方はこちらから 記事 へ飛べます。答えを見たくない場合はどうぞ。

作問の意図

実を言うと、大した考えは特に無いです(???)
なんとなく$(a,b,c),(b,c,a),(c,a,b)$の3点を取ったらたまたま体積が有名な因数分解の式$a^3+b^3+c^3-3abc$になったのでそれを使う問題に仕上げました。
(1)は三次方程式の解と係数の関係から最大最小を求める典型パターンです。
(2)は取り組みやすい整数問題です。
個人的には基礎、標準を確認できる問題だなーと思ってます。
では早速解説へ移りましょう。

解説

(1)まず、$AB=BC=CA=\sqrt{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2}$より、三角形$ABC$は正三角形である。
$O$から三角形$ABC$がのる平面$\alpha$へ下ろした垂線の足を$H$とし、
$\overrightarrow{OH}=s\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB}+u\overrightarrow{OC},s+t+u=1$とおく。
$\overrightarrow{OH}\cdot\overrightarrow{AB}=0\Leftrightarrow(sa+tb+uc)(b-a)+(ua+sb+tc)(c-b)+(ta+ub+sc)(a-c)=0$
$\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \Leftrightarrow(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)s=(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)t$
$\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \Leftrightarrow s=t$
なぜなら$A,B,C$は相異なるので$\lnot(a=b\land b=c\land c=a)\Leftrightarrow\left((a-b)^2\neq 0\lor(b-c)^2\neq 0\lor(c-a)^2\neq 0\right)$
したがって
$\displaystyle a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca=\frac{1}{2}\left((a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\right)>0$となるからである。
同様にして$s=t=u$なので、$H$は三角形$ABC$の重心$G$と一致する。
三角錐の$O$-$ABC$の体積$V$は、三角形$ABC$の面積を$S$として、
$V=\displaystyle\frac{1}{3}S|\overrightarrow{OG}|=\frac{\sqrt{3}}{12}|\overrightarrow{AB}|^2|\overrightarrow{OG}|=\frac{1}{6}(a^3+b^3+c^3-3abc)=\frac{1}{6}(a+b+c)\left((a+b+c)^2-3(ab+bc+ca)\right)$
題意より$V=9,a+b+c=6$なので、$a+b+c=6,ab+bc+ca=9$
ここで$abc=k$とおき、$k$の最大値を求める。
解と係数の関係より、$a,b,c$$x$の三次方程式$x^3-6x^2+9x-k=0$の正の3実数解である。
ただし$a,b,c$のいずれか2つが重解になっていても良い。(3重解はNG)
$y=x^3-6x^2+9x$とおき、$y=k$との交点の数をグラフを描いて考えることにより、$0< k\leq 4$である。
$k=4$のとき、$(a,b,c)$$1,1,4$の巡回になるから、$k$の最大値は確かに4として良い。
また、$(a-b)^2=(a+b)^2-4ab=(c-6)^2-4(9-bc-ca)=(c-6)^2+4c(6-c)-36=12c-3c^2=12-3(c-2)^2$
であるから$a-b$の最大値は$c=2$のとき$2\sqrt3$になりそうだが、
実際$(a,b,c)=(3+\sqrt3,3-\sqrt3,2)$のときにそうなるのでこれで良い。

(2)(1)より、$(a+b+c)\left((a+b+c)^2-3(ab+bc+ca)\right)=54$を解けば良い。
$a,b,c$$a=b=c$とならない自然数であるから、$a+b+c>3,ab+bc+ca>4$
また、$a+b+c$に54の素因数3をすべて振り分けると$ab+bc+ca$が自然数にならないので、場合分けは以下の3つである。
(i)
$\left\{ \begin{array}{l} a+b+c=6 \\ ab+bc+ca=9 \end{array} \right.$のとき、$c$を消去して、$a^2+(b-6)a+(b-3)^2=0$
これを$a$の二次方程式と見て判別式より、$D=(b-6)^2-4(b-3)^2\geq0$
$3b^2-12b\leq0$だから$b=1,2,3,4$を調べれば良い。適するのは$a=1$のみである。
(ii)
$\left\{ \begin{array}{l} a+b+c=9\\ ab+bc+ca=25 \end{array} \right.$のとき、$c$を消去して、$a^2+(b-9)a+b^2-9b+25=0$
これを$a$の二次方程式と見て判別式より、$D=(b-9)^2-4(b^2-9b+25)\geq0$
$3b^2-18b+19\leq0$だから$b=2,3,4$を調べれば良い。この場合すべて不適である。
(iii)
$\left\{ \begin{array}{l} a+b+c=18\\ ab+bc+ca=107 \end{array} \right.$のとき、$c$を消去して、$a^2+(b-18)a+b^2-18b+107=0$
これを$a$の二次方程式と見て判別式より、$D=(b-18)^2-4(b^2-18b+107)\geq0$
$3b^2-38b+104\leq0$だから$b=5,6,7$を調べれば良い。適するのは$b=6$のみである。

以上の(i),(ii),(iii)から、$(a,b,c)=(1,1,4),(5,6,7)$が答えである。

これ以外に別解などあればぜひコメントください。指摘も歓迎です。

投稿日:20201110

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投稿者

Tokyo Tech 22B理学院 作問サークル(非公式)所属。 主に高校数学の自作問題を投稿します。 まれに問題の解答例、解説を書くこともあります。

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