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太郎と花子に問題を作らせる

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数学の共通テストの登場人物として,「太郎」「花子」が存在します。

実際の共通テストで「太郎」「花子」が出ることを保証しているわけではありません。ただ,これまでの駿台,東進,河合塾が作成した共通テスト対策問題で「太郎」「花子」が頻繁に会話をしているだけです。

彼らを使えば,これまで受験生に出しにくかった問題を出すことは出来るのではないでしょうか?という提案です。
(タイトルに語弊がありましたので,修正しました。)

シムソンの定理を証明する
四角形ABCDは,原点中心で半径1の円に内接し,その頂点はA(α)B(β)C(γ)D(1)である。点Dから直線ABBCCAにおろした垂線の足をそれぞれP(λ)Q(μ)R(ν)とする。太郎と花子の会話を参考に,その下の問いに答えよ。

〔太郎〕λを,αβだけで表すことは出来ないかな?

〔花子〕まずはABPDから考えてみましょうか。複素数平面における垂直条件から,が純虚数であることを用いて変形しましょう。

〔太郎〕式変形の途中で共役な複素数が出てくるね…でもαは単位円周上にあるから,αα=が成り立つことを使ってみよう。βについても同様の関係式が成り立つね。 
よし,αβ+λαβλ=と変形できた。ここからどうしよう??

〔花子〕少し視点を変えて,3点APBが一直線上にあることを利用すれば新たに式を作れそうね。これも頑張って計算すると,αβλ=が得られるわ。

〔太郎〕今出した2つの式からαβλを消去すれば,λαβだけで表すことが出来そう!λ=12()と計算できたよ!

〔花子〕ということは,μνも,α,β,γだけで表せそうね。一応まとめておきましょう。μ=12(),ν=12()

〔太郎〕もしかして,3点PQRは,同一直線上にあるのかな…?!

〔花子〕良く気づいたわね。それをSimsonの定理というわ。1800年頃に見つかった定理よ。

問:(1) アからキを埋めよ。 (2) 下線部を証明せよ。

例えばこんな感じで,誘導を太郎と花子に任せ,道中の式を埋めることで解答を導くとか。。さらに(2)として,「下線部の事実を証明しなさい。」とかやれば,記述の試験にもなります。

他にもこんな問題を作ることも出来るでしょう。

とある数列の一般項を求める
数列{an}は漸化式a1=7,an+1=an22を満たす。この数列{an}の一般項を求めたい。太郎と花子の会話を参考に,その下の問いに答えよ。

〔太郎〕教科書にはない問題だね。一般項の形を予想できないかな。
〔花子〕例えば,a1=α+1αと表せる実数αが存在したとしましょう。このとき,a2=(α+1α)22=α2+1α2と表せるわね。
〔太郎〕なるほど!その調子でa3a4anαを使って表せそうだね!

問:(1)会話においてαを求めなさい。ただしα>1とする。
   (2)anの一般項をαを用いて予想し,それが成り立つことを数学的帰納法を用いて証明しなさい。

誘導がないと求めづらい数列も,太郎と花子のおかげで標準的な問題になりました。

〔太郎〕 円周率πって,どうして3.05より大きいのだろう?

問:円周率が3.05より大きいことを証明せよ。

なんか,作問(クソ問)の幅が広がる気がしますね。。。

という夢を見て起床しました。今日も1日元気に頑張っていきましょう。

投稿日:20201110
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ぱるち
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数学屋さんをしています。代数,数論系に興味があり,今は楕円曲線と戯れています。Mathlogは現実逃避用という噂もあります。@f_d00123

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