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次元定理の証明

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次元定理

$V,W$$K$上のベクトル空間として、$f:V\to W$$K$上の線型写像とする。
このとき、次の等式が成り立つ。
$$ \dim \ker f+\dim {\rm Im}f=\dim V $$

$V$の部分空間$\ker f$の基底$\{{\bf u}_1,\cdots{\bf u}_s\}$をとる。
また、$W$の部分空間${\rm Im}f$の基底$\{{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_r\}$をとる。
今、各$i=1,\cdots,r$に対して$f({\bf v}_i)={\bf w}_i$となるような${\bf v}_i\in V$をとる。
このとき、$\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s,{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_r\}$$V$の基底となることを示す。

まず、$\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s,{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_r\}$の線形独立性を示す。
$$ a_1{\bf u}_1+\cdots+a_s{\bf u}_s+b_1{\bf v}_1+\cdots+b_r{\bf v}_r=0 $$であるとき、両辺を$f$によって写すと$f$は線形写像であるから
$$ a_1f({\bf u}_1)+\cdots+a_sf({\bf u_s})+b_1f({\bf v}_1)+\cdots+b_rf({\bf v}_r)=0 $$$$ b_1{\bf w}_1+\cdots+b_r{\bf w}_r=0 $$となる。ここで、$\{{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_r\}$${\rm Im}f$の基底であることから、線形独立である。
ゆえに$b_1=\cdots=b_r=0$である。
したがって$$ a_1{\bf u}_1+\cdots+a_s{\bf u}_s=0 $$となるが、$\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s\}$$\ker f$の基底であることから、線形独立である。
ゆえに$a_1=\cdots=a_s=0$である。
したがって$\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s,{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_r\}$は線形独立である。

次に$V={\rm span}\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s,{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_r\}$であることを示す。
${\bf v}\in V$に対する${\rm Im}f$の元$f({\bf v})={\bf w}$を考える。
${\bf w}=b_1{\bf w}_1+\cdots+b_r{\bf w}_r$とし、 $f({\bf v}-(b_1{\bf v}_1+\cdots+b_r{\bf v}_r))$を考えると
$f({\bf v}-(b_1{\bf v}_1+\cdots+b_r{\bf v}_r))=f({\bf v})-{\bf w}=0$であるから${\bf v}-(b_1{\bf v}_1+\cdots+b_r{\bf v}_r)\in\ker f$である
ゆえに${\bf v}-(b_1{\bf v}_1+\cdots+b_r{\bf v}_r)$$\ker f$の基底$\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s\}$を用いて
$$ {\bf v}-(b_1{\bf v}_1+\cdots+b_r{\bf v}_r)=a_1{\bf u}_1+\cdots+a_s{\bf u}_s $$と表せる。したがって任意の$V$の元${\bf v}$
$$ {\bf v}=a_1{\bf u}_1+\cdots+a_s{\bf u}_s+b_1{\bf v_1}+\cdots+b_r{\bf v}_r $$と表せる。ゆえに$\{{\bf u}_1,\cdots,{\bf u}_s,{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_r\}$$V$を構成する。

ここで$\dim\ker f=s,\dim{\rm Im}f=r,\dim V=s+r$であることから
$$ \dim\ker f+\dim{\rm Im}f=\dim V $$が成立。

投稿日:20201111
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みずき
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