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電気学生なら容易に解ける三角関数を含む一階微分方程式

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次の問題を解いてみよう

dydx+Ay=BsinCx   x=0y=0

単純な1階微分方程式であるが三角関数が入ると面倒そうである。ラプラス変換をすれば解けそうだが,それでも面倒そうな気がして解くのを躊躇してしまう。でも,電気工学科の学生ならば,比較的簡単に例題の解を導くことができるのだ。さあ,解いてみよう。

例題の式を電気回路で置き換えると,実はLR回路に交流電源を印加した場合の電流特性を見ていることと等価になる。つまり,
Ldidt+Ri=Vsinωt   t=0i=0                (1)
を解くことと同じである。電気回路に落とし込めそうならば,電気工学科ならお手のものだ。

(1)式を解くにあたり,まず,一般解(過渡解)を考える。つまり,
Ldidt+Ri=0                (2)
を解く。これは,下記のように比較的容易に解くことができる。
Ldidt=Ri
Llogei=Rt+K1
logei=RLt+K2
i=KeRLt  K                (3)

次に,特殊解(定常解)を求める。さて,どう求めるか?この特殊解の導出が面倒なことが例題の式を解くことを困難にしているのである。でも大丈夫,なぜなら2年生の時にフェイザーを習得しているから。つまり,(1)式は,
jωLi+Ri=VIm[ejωt]                (4)
と表せる。(アンダーラインの部分は普通は表記しないが,ここでは,分かりやすさのためにあえて残してみた。) (4)式からはsinの項が消えており,見通しが良さそうだ。しかし,そもそも(4)式は正しいのか?答えはもちろん正しい。なぜならば,sinωtはオイラーの公式よりejωtの虚数項であり,実軸と虚軸は直交しているため,互いに作用しないと考えれば(4)式のように表しても何ら問題はない。もっと言えば,LRの線形素子に正弦波の電圧を与えているのだから,電流iの周波数は変わるはずもなく,iejωtを用いて表されるはずである。(だから,LdidtjωL(jωejωtを微分した時に現れる係数成分)と表されるとも言える。)したがって,電気工学科の学生ならば(1)式は通常は,
jωLi+Ri=V                (5)
と表すのである。そして,iを解いた後に sinωtを戻してあげれば答えにたどり着くはずだ。では,早速,(4)式を解いてみよう。
i=VR+jωLejωt=VR2+ω2L2(RjωL)ejωt                (6)
ここで,RjωLは大きさがR2+ω2L2であり,位相角はϕ=Tan1ωLRであるので,
i=VR2+ω2L2sin(ωt+ϕ)  ϕ=Tan1ωLR                (7)
となり,あっさりと特殊解を求められる。ここまでくれば,あとは簡単。一般解と特殊解を纏めると,
i(t)=KeRLt+VR2+ω2L2sin(ωt+ϕ)                (8)
t=0i=0なので,
i(0)=K+VR2+ω2L2sinϕ0                (9)
となり,
K=VR2+ω2L2sinϕ                (10)
したがって,
i(t)=VR2+ω2L2[sin(ωt+ϕ)sinϕeRLt]                (11)
と解くことができる。

念のため,例題の解は,L=1R=AV=Bω=Cと考えればよく,
y=BA2+C2[sin(Cx+ϕ)sinϕeAx]    ϕ=Tan1CA                (12)
となる。めでたし。めでたし。

投稿日:2020112
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投稿者

H_AYN
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