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大学数学基礎解説
文献あり

【数列版ロピタルの定理】 Stolz-Cesàro の定理と証明

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$\TeX$インポートを使ってみた.

数列でもロピろう!

Stolz-Cesàroの定理

$\{a_n\}$$\{b_n\}$を実数の数列とする.$b_n$が狭義単調で非有界であり,極限
\begin{eqnarray} \lim_{n\to\infty}\frac{a_{n+1}-a_n}{b_{n+1}-b_n}=l\quad(\in[-\infty,\infty])\end{eqnarray}
が存在するならば,
\begin{eqnarray} \lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{b_n}=l. \end{eqnarray}

\begin{align*} a_n=\log n,\ b_n=\sum_{k=1}^{n}\frac1k \end{align*}
とする.
\begin{align*} \lim_{n\to\infty}\frac{a_{n+1}-a_n}{b_{n+1}-b_n} &=\lim_{n\to\infty}\frac{\log\frac{n+1}n}{\frac1{n+1}}\\ &=\lim_{n\to\infty}(n+1)\log\left(1+\frac1n\right)\\ &=\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac1n\right)\cdot n\log\left(1+\frac1n\right)\\ &=\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac1n\right)\log\left(1+\frac1n\right)^{n}\\ &=1 \end{align*}
となるので,Stolz-Cesàro の定理より,
\begin{align*} \lim_{n\to\infty}\frac{\log n}{\sum_{k=1}^{n}\frac1k} &=1. \end{align*}

$l$が有限とする.$\{b_n\}$は非有界で狭義単調増加であるとする.

十分大きな$n$に対して$\{b_n\}$がすべて正であるので,その部分を考える.$\epsilon>0$を任意にとる.$\epsilon/3$に対して,ある$n_0$が存在して,任意の$n\ge n_0$に対して,$b_n>0$かつ
\begin{eqnarray} \left|\frac{a_{n+1}-a_n}{b_{n+1}-b_n}-l\right|<\epsilon/3.\end{eqnarray}
したがって,
\begin{eqnarray} (b_{n+1}-b_n)(l-\epsilon/3)< a_{n+1}-a_n<(b_{n+1}-b_n)(l+\epsilon/3). \end{eqnarray}
この不等式は任意の$n\ge n_0$に対して成り立つので,
\begin{gathered} \sum_{k=n_0}^{n-1}(b_{k+1}-b_k)(l-\epsilon/3)<\sum_{k=n_0}^{n-1}(a_{k+1}-a_k)<\sum_{k=n_0}^{n-1}(b_{k+1}-b_k)(l+\epsilon/3)\\ (b_{n}-b_{n_0})(l-\epsilon/3)< a_{n}-a_{n_0}<(b_{n}-b_{n_0})(l+\epsilon/3). \end{gathered}
全辺に$a_{n_0}$を足し合わせて$b_{n}(>0)$で割ると,
\begin{eqnarray} l-\frac{\epsilon}{3}-(l-\frac{\epsilon}{3})\frac{b_{n_0}}{b_{n}}+\frac{a_{n_0}}{b_{n}} <\frac{a_{n}}{b_{n}}< l+\frac{\epsilon}{3}-(l+\frac{\epsilon}{3})\frac{b_{n_0}}{b_{n}}+\frac{a_{n_0}}{b_{n}}. \end{eqnarray}
ここで,仮定より$\{b_n\}$は非有界で狭義単調増加であり$n$に関しての2つの数列$\{b_{n_0}/b_{n}\}$$\{a_{n_0}/b_{n}\}$$0$に収束することに気をつけると,ある$n_1>n_0$が存在して,任意の$n\ge n_1$に対して,
\begin{eqnarray} \left|\frac{b_{n_0}}{b_{n}}(l\pm\frac{\epsilon}{3})\right|<\frac{\epsilon}{3}\ \text{かつ}\ \left|\frac{a_{n_0}}{b_{n}}\right|<\frac{\epsilon}{3} \end{eqnarray}
であるので,任意の$n\ge n_1$に対して,最終的に
\begin{eqnarray} \left|l-\frac{a_n}{b_n}\right|<\epsilon \end{eqnarray}
を得る.よって$a_n/b_n\to l$.同様の議論で$\{b_n\}$が狭義単調減少としても示せる.$l=+\infty$とする.$\{b_n\}$は非有界で狭義単調増加とする.十分大きい$n$に対して$b_n$はすべて正であるとしても一般性を失わない.

任意の$\epsilon>0$をとる.

ある$n_0$が存在して,任意の$n\ge n_0$に対して,
\begin{eqnarray} \frac{a_{n+1}-a_n}{b_{n+1}-b_n}>\epsilon \end{eqnarray}
すなわち
\begin{eqnarray} a_{n+1}-a_n>\epsilon(b_{n+1}-b_n). \end{eqnarray}
この不等式は任意の$n\ge n_0$で成り立つので
\begin{gathered} \sum_{k=n_0}^{n-1}(a_{k+1}-a_k)>\sum_{k=n_0}^{n-1}\epsilon(b_{k+1}-b_k)\\ a_n-a_{n_0}>\epsilon(b_n-b_{n_0})\\ a_{n}/b_{n}>\epsilon+(a_{n_0}-\epsilon b_{n_0})/b_{n} \end{gathered}
となる.ここで,仮定より$\{b_n\}$は非有界で狭義単調増加であるので,ある$n_1>n_0$が存在して,任意の$n>n_1$に対して
\begin{eqnarray} |(a_{n_0}-\epsilon b_{n_0})/b_{n}|<\epsilon/2 \end{eqnarray}
であるので,最終的に
\begin{eqnarray} a_n/b_n>\epsilon/2 \end{eqnarray}
を得る.よって,この場合において$a_n/b_n\to \infty$が示された.

これも同様の議論で$\{b_n\}$が狭義単調減少としても示せる.

また$l=-\infty$の場合も同様に示せる. よって定理は示された.

参考文献

Mureşan, Marian (2008) A Concrete Approach to Classical Analysis , Springer, pp. 85-87, ISBN 978-0-387-78932-3.

参考文献

[1]
Mureşan, Marian, A Concrete Approach to Classical Analysis, Springer, 2008, pp. 85-87
投稿日:20201111

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がーと
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