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レピュニット数と3...31の形をした合成数と、無理数の無理数乗。

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 今日は11月11日ということでレピュニット数について話をします!(初数学ブログ de テンションMAX!)

レピュニット数について

レピュニット($\textcolor{blue}{\text{repunit}}$)とは、$\textcolor{blue}{\text{rep}}\text{eated}$$\textcolor{blue}{\text{unit}}$を省略した言葉で

レピュニット数($\text{repunit number}$)とは、全ての桁が$1$である自然数${11\cdots1}$のことです。

実際に$1(\text{unit})$が繰り返されて$(\text{repeated})$いますね!

レピュニット数

全ての桁が$1$である自然数${11\cdots1}$のこと。

11月11日はまさにレピュニットの日というわけです!!
(ポッキーを思い浮かべた方も今はレピュニット数に思いを馳せましょう!)

この$11$は素数ですが、レピュニット数かつ素数である数が無限にあるかどうかはまだ分かっていません。

しかし、レピュニット数かつ合成数である(=素数でない)数は無限にあります。($\underbrace{11\cdots1}_{1が偶数個}$$11$の倍数)

さらに、フェルマーの小定理を使うことで、どんな$7$以上の素数$p$対しても、$p$の倍数であるレピュニット数を構成することが出来ます。
まずここでフェルマーの小定理の主張を確認し、その構成方法と仕組みを述べます。

フェルマーの小定理は
素数$p$で割り切れない整数$a$$p-1$回かけた数$a\underbrace{×\cdots×}_{p-1\text{回}}a$は、必ず$p$で割ると$1$余る数になるんだぜという定理です。(例えば$3$で割り切れない整数$5$$2$回かけた数$25$は、$3$で割って$1$余る数になっていますね!)
以下に主張をまとめます。

フェルマーの小定理

$p:$素数 $a:$ $p$で割り切れない整数 に対して、以下の合同式が成り立つ。

$$a^{p-1}\equiv 1\pmod p$$

この定理を使った7以上の素数で割り切れるレピュニット数の構成と仕組みが以下です。

与えられた7以上の素数で割り切れるレピュニット数の構成方法とその仕組み

フェルマーの小定理から、特に$7$以上の素数$p$に対して、
$$10^{p-1}\equiv 1 \pmod p $$
が成り立ちます。

この合同式は$$10^{p-1}-1=\underbrace{99\cdots9}_{p-1コ}\text{が}p\text{の倍数であること}$$を表しています。
$p$$7$以上の素数であるため、$p$$9$は互いに素であり、$9$$p$で割り切れません。

従って、$\underbrace{99\cdots9}_{p-1コ}=9×\underbrace{11\cdots1}_{p-1コ}$$p$の倍数であることから、$\underbrace{11\cdots1}_{p-1コ}$$p$の倍数であることが分かります。
このことを以下に定理としてまとめます。

与えられた7以上の素数で割り切れるレピュニット数の構成

$p:7$以上の素数 に対して、以下の性質が成り立つ。

$$\underbrace{11\cdots1}_{p-1コ}(=\frac{10^{p-1}-1}{9})はpの倍数$$

ちなみに、$7$以上の素数$p$に対して$\underbrace{11\cdots1}_{p-1コ}$$p$の倍数であるということは、
$$\underbrace{22\cdots2}_{p-1コ},\underbrace{33\cdots3}_{p-1コ},\underbrace{44\cdots4}_{p-1コ},\underbrace{55\cdots5}_{p-1コ}, \underbrace{66\cdots6}_{p-1コ},\underbrace{77\cdots7}_{p-1コ},\underbrace{88\cdots8}_{p-1コ},\underbrace{99\cdots9}_{p-1コ}$$$p$の倍数ということになります。

何があるか分からないこの時代、もし全ての桁が$3$である$17$の倍数が今すぐどうしても欲しいという状況になっても、
この定理で対処することが出来ます!($\underbrace{3333333333333333}_{3が16コ並んだ数}$を手元に用意すればOK!)

全ての桁が3である17の倍数

$196078431372549×17=3333333333333333(3が16コ並んだ数)$

無理数の無理数乗は有理数になるか?

さて、ここでタイトルにある無理数の無理数乗についてこのような問題を考えます。

問題1:無理数の組$(a,b)$で、$a^{b}$が有理数になる($a^{b} \in \mathbb{Q}$)ものはあるか?

この問題に対して独特な証明がありますが、そのおかげで問題自体わりかし有名かもしれません。

ちなみに、こちらも条件を満たす組が無限個存在することが示せます。先ほどのレピュニット数の証明と何が違うのかを意識しながら証明を確かめましょう!

2つの組のうち少なくともどちらか一方が条件を満たすことを示す

無理数の組$(a,b)=(\sqrt2,\sqrt2)$がもし条件を満たす($\sqrt2$$\sqrt2$乗が有理数になる)とすれば、存在性が示せたことになる。
そこで、無理数の組$(a,b)$が条件を満たさないと仮定する。つまり、$\sqrt2^\sqrt2$は無理数。
このとき、無理数の組$(\sqrt2^\sqrt2,\sqrt2)$をみると
$${(\sqrt2^\sqrt2)}^\sqrt2=\sqrt2^{(\sqrt2×\sqrt2)} =\sqrt2^2=2$$
となるため、$\text{(無理数)}^\text{(無理数)}=(\text{有理数})$という条件を満たす無理数の組の存在が示せたことになる。
$\sqrt2^\sqrt2$が有理数の場合でも無理数の場合でも条件を満たす無理数の組が存在することが示せた。
従って、$\text{(無理数)}^\text{(無理数)}=(\text{有理数})$という条件を満たす無理数の組は必ず存在する。
さらに、この議論は$\sqrt2$$\sqrt{2n}$($n:$奇数)に置き換えても成り立つため、条件を満たす無理数の組は無限個存在する。
(一般に奇数$n$$2^{\text{(偶数)}}×{(奇数)}$で表される数としてもよい。)

どうでしょうか! 
この証明の個人的面白ポイントは具体的な構成は示していないという所にあります! 
つまり、$\text{(無理数)}^\text{(無理数)}=(\text{有理数})$となる無理数の組を具体的に見せて、と言われたら困ってしまう訳です!(証明中$\sqrt2^\sqrt2$が無理数がどうか最後まで分からない!)
もちろん、組$(\sqrt2,\sqrt2)$か組$(\sqrt2^\sqrt2,\sqrt2)$のどちらか一方は少なくとも条件を満たすことは言えますが、どちらが条件を満たすかは結局分からずじまいなのです!
この一見すると、具体的に条件を満たす無理数の組を見つけているように見えてじつは存在性しか言っていない所がこの証明のアツい部分です。

$3$$16$個並べれば$17$の倍数が手に入った先ほどの状況とはずいぶん違いますね!
今回どうしても$\text{(無理数)}^\text{(無理数)}=(\text{有理数})$になる無理数の組が手元にないと不安だよ~という方は$(\sqrt2,\sqrt2)$$(\sqrt2^\sqrt2,\sqrt2)$の両方を用意してください!すみません!

無理数の無理数乗が有理数になる犯人はこの中にいる

$n:$奇数 に対して、$$\sqrt{2n}^\sqrt2,{(\sqrt{2n}^{\sqrt2})}^\sqrt2$$
 のうち少なくともどちらか一方は、無理数の無理数乗の形をしているかつ有理数である。

$3\cdots31$の形をした合成数について

ここまでレピュニット数のお話と不思議な証明のお話の2つを紹介しました。

ここからは最終章として、$3\cdots31$の形をした合成数について話します!ちなみに2つのお話がどこかに再登場します!

ところで皆さん今月11月は31日(晦日)がやってこない小の月ですが、$31$にまつわるこんな小ネタをご存じですか?

$$31\rightarrow \text{素数}$$
$$331\rightarrow \text{素数}$$
$$3331\rightarrow \text{素数}$$
$$33331\rightarrow \text{素数}$$
$$333331\rightarrow \text{素数}$$
$$3333331\rightarrow \text{素数}$$
$$33333331\rightarrow \text{素数}$$
$$333333331\rightarrow \textcolor{red}{\text{素数じゃない}}$$
 WHY PRIME NUMBERS!?

$3\cdots31$の形をした整数は常に素数になるかと思いきや8番目でその法則は破られて合成数になってしまいます。

この$3\cdots31$という同じ数字$3$が続いている様子を見ていると、最初のレピュニット数のお話をどうにか使って$3\cdots31$の形をした合成数を構成できる気がなんとなくしてきます。
つまり、いざとなったらこの形をした合成数を好きなだけ手に入る仕組みが作れるのではないかという予想です。

今のところ筆者はこの予想を具体的に解決出来ませんでしたが、なんと先ほどの無理数の無理数乗のお話のように2つのうち少なくともどちらか一方が$3\cdots31$の形をした合成数となる組を見つけることが出来ました!

そしてその証明はまたもや、具体的に構成しているように見えてじつは存在性しか言っていないアツい証明になっています!!
さらにその証明に最初のレピュニット数のお話(定理2)を使います!今までの力を結集して最後の敵と対峙する少年漫画のような証明を紹介していきます!

二つの$3\cdots31$のうち少なくともどちらか一方が合成数になることを示す

$2$以上の整数$n$に対して、

$a=\underbrace{3\cdots31}_{n桁}$($3$$n-1$コ並んだ数),

$b=\underbrace{3\cdots31}_{a+n-1桁}$($3$$a+n-2$コ並んだ数)とおく。
整数の組$(a,b)$のうち少なくとも一方が合成数になることを示す。この整数$a$が合成数であれば既に示せたことになる。そこで、$a$が素数であると仮定する。
このとき、$a$$7$以上の素数となるため定理2から$$\underbrace{3\cdots3}_{a-1コ}$$$a$の倍数であることが分かる。この数を$10^n$倍すると
$$\underbrace{3\cdots3}_{a-1コ}\underbrace{0\cdots0}_{nコ}$$
となり、これも$a$の倍数。さらに$a=\underbrace{3\cdots31}_{n桁}$を足すと
$$\underbrace{3\cdots3}_{a-1コ}\underbrace{3\cdots31}_{n桁}=\underbrace{3\cdots31}_{a+n-1桁}=b$$
となり、これも$a$の倍数。すなわち、$b$は合成数である。
$a$が合成数である場合でも素数である場合でも、整数の組$(a,b)$のうち少なくともどちらか一方は合成数であることが示せた。
また、整数$a,b$はともに$3\cdots31$の形をした整数である。
さらに、2以上の整数$n$($=a$の桁数)に対して、$a$が決まるため$3\cdots31$の形をした合成数は無限個存在することが示せた。

記号が多く煩雑な証明になってしまったので、$n=2,3$の場合の具体例を以下に示します。

$31$が(合成数じゃ)ないなら$3\cdots31$($32$桁の数)を食べればいいじゃない

$$31\rightarrow\text{素数}$$ $$\underbrace{33333333333333333333333333333331}_{3が31コ、1が1コ並んだ32桁の数}\rightarrow素数じゃない(合成数)$$

先ほどの証明の最中に、$\underbrace{3\cdots3}_{30コ}00+31=\underbrace{3\cdots31}_{32桁}$$31$の倍数になることを示していました。

$331$が(合成数じゃ)ないなら$3\cdots31$($333$桁の数)を食べればいいじゃない

$$331\rightarrow\text{素数}$$ $$\underbrace{333333333333333\cdots3333333333333331}_{3が332コ、1が1コ並んだ333桁の数}\rightarrow素数じゃない(合成数)$$

先ほどの証明の最中に、$\underbrace{3\cdots3}_{330コ}000+331=\underbrace{3\cdots31}_{333桁}$$331$の倍数になることを示していました。

今回の内容はこれで終了です!

いかがでしたでしょうか!
ある数が$\text{A}$という性質を持てば、その数をとり、
ある数が$\text{A}$という性質を持たなければ、その数から構成される別の数($\text{A}$という性質を持つ)をとればよい($\text{A}$でないからこそ構成できる)
という流れがなんとも不思議でしたね!
(性質$\text{A}=$無理数の無理数乗の形をしているかつ有理数である or $3\cdots31$の形をしているかつ合成数である)

身近(?)なところ(人狼ゲーム)では、
"この人が言っていることが嘘だったらこの人が人狼、本当だったらあの人が人狼。少なくとも、この人かあの人のどちらかが人狼だから、二人とも...(ケツイ)"
といった推論の流れが今回の証明の流れと似ているでしょうか!
もしよかったら皆さんも日常の生活の中で、この流れがどこかに使われていない是非探してみて下さい!

最後に一つ問題を残して、筆を置きたいと思います! 
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

問題2:花子と太郎は、赤か白の帽子をかぶっていて、それぞれ自分の帽子は見れず、相手の帽子は見ることが出来る。
二人同時に自分の帽子の色を答えるとき、少なくとも一人が正解するには事前にどんな戦略を立てておけばよいか?
投稿日:20201111
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