二次方程式の解の公式は,平方完成を行なって移行し,平方根を求めれば導出できる.これは中学校の数学で教わる話である.
ここではさらに三次方程式の解の公式について考える.複素数を学んだことがあるならば,少し苦労すれば理解できる.三次方程式
にはカルダノの公式とよばれる解の公式が存在する.ここでは簡単のため,(1) のように三次の係数を
二次方程式の解の公式を導出するときに行なった平方完成の場合と同様に,立方完成を用いて二次の係数をなくす.つまり,
という文字の置き換えを行って,方程式を書き換えると,
のような形になる.
である.この次が重要な点である.
というように,未知数
(4) が成り立つためには,以下の二つの式が成り立てばよい.
となる.さて(5),(7) をよく見てみよう.ここで二次方程式の解と係数の関係を考えると,
の解
両辺の三乗根を計算すると,
(9),(10) を解く準備として,
を考える.この式は因数分解可能であり,
から,
となる.ここで
と置くと,元の方程式の解は
一般に
と書ける.この中で,
となる.