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科学大数学系院試過去問解答例(2023午前01)

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ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2023午前01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2023午前01

$K$上のベクトル空間$V$及びその自己準同型$\varphi:V\to V$をとる。また$\varphi^n:V\to V$$\varphi$$n$回合成とする。$V$の部分空間$W_0$$\cap_{n=0}^\infty\varphi^n(V)$とおく。また$V$の部分空間からなる集合$S$
$$ S:=\left\{W\middle|\varphi\textsf{ の }W\textsf{ への制限は }W\textsf{ の同型になっている }\right\} $$
とする。
(1) $S$の元は$W_0$の部分空間であることを示しなさい。
(2) $V$が有限次元なら、$W_0\in S$であることを示しなさい。
(3) $W_0\notin S$である$K,\varphi,V$の例を挙げなさい。

  1. $W\in S$をとる。$x\in W$を取ったとき、$\varphi$$W$上同型であるから、任意の$n$について
    $$ \varphi^n(y)=x $$
    なる$y\in W$が存在する。よって$W\subseteq W_0$が示せた。
  2. $\varphi$$W_0$上全射であるから、$V$の有限次元性より$\varphi|_{W_0}$$W_0$の同型を定めている。よって結果が従う。
  3. ${\color{red}K=\mathbb{R}}$とし
    $$ {\color{red}V=\mathbb{R}^{\mathbb{N}}}=\{(a_1,a_2,a_3,a_4,\cdots)|a_i\in\mathbb{R}\} $$
    とし、$\varphi:V\to V$
    $$ {\color{red}\varphi(a_1,a_2,a_3,\cdots)=(a_2,a_3,a_4,\cdots)} $$
    とおく。このとき$W_0=V$だが$\varphi:V\to V$$\varphi(1,0,0,\cdots)=0$であるから単射でない。よって上で挙げた$K,V,\varphi$は所望の例になっている。
投稿日:106
更新日:109
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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