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写像 ②

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Prop&Proof

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S\subseteq A$ に対して、
$$ f(S)=\varnothing \Longleftrightarrow S=\varnothing $$
が成り立つ。

  1. $f(S)=\varnothing\Longrightarrow S=\varnothing$ を示す。
    対偶を示す。$S\ne\varnothing$ と仮定する。
    このとき、ある $s\in S$ が存在する。$S\subseteq A$ であるから、
    $$ s\in A $$
    である。
    $f:A\to B$ は写像であるから、
    $$ f(s)\in B $$
    が定まる。
    また、部分集合の像の定義より、
    $$ f(s)\in f(S) $$
    である。したがって、
    $$ f(S)\ne\varnothing $$
    である。
    ゆえに、対偶より、
    $$ f(S)=\varnothing\Longrightarrow S=\varnothing $$
    が成り立つ。
    $ $
  2. $S=\varnothing\Longrightarrow f(S)=\varnothing$ を示す。
    $S=\varnothing$ と仮定する。任意に $y\in f(S)$ をとる。
    部分集合の像の定義より、ある $s\in S$ が存在して、
    $$ y=f(s) $$
    が成り立つ。
    しかし、$S=\varnothing$ であるから、そのような $s$ は存在しない。
    したがって、$f(S)$ には元が存在しない。
    ゆえに、
    $$ f(S)=\varnothing $$
    である。

-以上より、
$$ f(S)=\varnothing \Longleftrightarrow S=\varnothing $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

上の命題において $S=\varnothing$ とすれば、
$$ f(\varnothing)=\varnothing $$
が得られる。

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ S=T \Longrightarrow f(S)=f(T) $$
が成り立つ。

任意に $S,T\subseteq A$ をとり、
$$ S=T $$
と仮定する。
集合の相等を示すために、両包含を示す。

  1. $f(S)\subseteq f(T)$ を示す。
    任意に $y\in f(S)$ をとる。
    部分集合の像の定義より、ある $s\in S$ が存在して、
    $$ y=f(s) $$
    が成り立つ。
    仮定 $S=T$ より、
    $$ s\in T $$
    である。
    したがって、部分集合の像の定義より、
    $$ y\in f(T) $$
    である。ゆえに、
    $$ f(S)\subseteq f(T) $$
    である。
    $ $
  2. $f(T)\subseteq f(S)$ を示す。
    任意に $y\in f(T)$ をとる。
    部分集合の像の定義より、ある $t\in T$ が存在して、
    $$ y=f(t) $$
    が成り立つ。
    仮定 $S=T$ より、
    $$ t\in S $$
    である。
    したがって、部分集合の像の定義より、
    $$ y\in f(S) $$
    である。ゆえに、
    $$ f(T)\subseteq f(S) $$
    である。
    以上より、
    $$ f(S)=f(T) $$
    である。

-したがって、
$$ S=T \Longrightarrow f(S)=f(T) $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

より短く書くなら、次のように書ける。
$S=T$ と仮定する。
任意の $y\in B$ について、部分集合の像の定義より、
$$ y\in f(S) \Longleftrightarrow \exists s\in S\ (y=f(s)) $$
である。
仮定 $S=T$ より、
$$ \exists s\in S\ (y=f(s)) \Longleftrightarrow \exists s\in T\ (y=f(s)) $$
である。
また、部分集合の像の定義より、
$$ \exists s\in T\ (y=f(s)) \Longleftrightarrow y\in f(T) $$
である。
したがって、任意の $y\in B$ について、
$$ y\in f(S) \Longleftrightarrow y\in f(T) $$
が成り立つ。
ゆえに、外延性より、
$$ f(S)=f(T) $$
である。

この命題は、集合の相等が像の相等を保つことを述べている。
ただし、逆向きの主張
$$ f(S)=f(T) \Longrightarrow S=T $$
は一般には成り立たない。
この逆向きの主張が一般には成り立たないことは、写像の像がもとの元の違いを失うことがあるためである。

一般には、写像 $f:A\to B$ と部分集合 $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S)=f(T) $$
であっても、
$$ S=T $$
とは限らない。
すなわち、一般には
$$ f(S)=f(T) \nRightarrow S=T $$
である。

反例を与える。
$$ A=\{0,1\} $$
$$ B=\{0\} $$
とする。
写像 $f:A\to B$
$$ f(0)=0, \quad f(1)=0 $$
で定める。また、
$$ S=\{0\}, \quad T=\{1\} $$
とする。
このとき、
$$ S\ne T $$
である。
一方、部分集合の像の定義より、
$$ f(S)=f(\{0\})=\{f(0)\}=\{0\} $$
である。
また、
$$ f(T)=f(\{1\})=\{f(1)\}=\{0\} $$
である。
したがって、
$$ f(S)=f(T) $$
である。
ゆえに、$f(S)=f(T)$ であっても、一般には $S=T$ とは限らない。
$$ \Box$$

像は元の違いを失うことがある

写像が単射でない場合、異なる元が同じ値に写ることがある。
そのため、像が等しくても、もとの部分集合が等しいとは限らない。

単射(今後定義する)の場合

$f:A\to B$ が単射であれば、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S)=f(T) \Longrightarrow S=T $$
が成り立つ。
これは、単射では異なる元が同じ値に写らないためである。

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S)\cap f(T)=\varnothing \Longrightarrow S\cap T=\varnothing $$
が成り立つ。

任意に $S,T\subseteq A$ をとり、
$$ f(S)\cap f(T)=\varnothing $$
と仮定する。
$S\cap T=\varnothing$ を示す。

  1. 対偶を示す。
    $$ S\cap T\ne\varnothing $$
    と仮定する。
    このとき、ある $x$ が存在して、
    $$ x\in S\cap T $$
    が成り立つ。
    したがって、
    $$ x\in S\land x\in T $$
    である。
    また、$S\subseteq A$ であるから、
    $$ x\in A $$
    である。
    $ $
  2. $f(x)$$f(S)\cap f(T)$ の元であることを示す。
    $f:A\to B$ は写像であり、$x\in A$ であるから、
    $$ f(x)\in B $$
    である。
    また、$x\in S$ であるから、部分集合の像の定義より、
    $$ f(x)\in f(S) $$
    である。
    同様に、$x\in T$ であるから、部分集合の像の定義より、
    $$ f(x)\in f(T) $$
    である。
    したがって、
    $$ f(x)\in f(S)\cap f(T) $$
    である。
    ゆえに、
    $$ f(S)\cap f(T)\ne\varnothing $$
    である。
    $ $
  3. 対偶により結論を得る。
    以上より、
    $$ S\cap T\ne\varnothing \Longrightarrow f(S)\cap f(T)\ne\varnothing $$
    が成り立つ。
    したがって、対偶により、
    $$ f(S)\cap f(T)=\varnothing \Longrightarrow S\cap T=\varnothing $$
    が成り立つ。
    $$ \Box$$

この命題も逆方向は成り立たない、以下で反例を示そう。

一般には、写像 $f:A\to B$ と部分集合 $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ S\cap T=\varnothing $$
であっても、
$$ f(S)\cap f(T)=\varnothing $$
とは限らない。
すなわち、一般には
$$ S\cap T=\varnothing \nRightarrow f(S)\cap f(T)=\varnothing $$
である。

反例を与える。
$$ A=\{0,1\} $$
$$ B=\{0\} $$
とする。
写像 $f:A\to B$
$$ f(0)=0, \quad f(1)=0 $$
によって定める。
また、
$$ S=\{0\}, \quad T=\{1\} $$
とする。このとき、
$$ S\cap T=\varnothing $$
である。
一方、部分集合の像の定義より、
$$ f(S)=f(\{0\})=\{f(0)\}=\{0\} $$
であり、
$$ f(T)=f(\{1\})=\{f(1)\}=\{0\} $$
である。
したがって、
$$ f(S)\cap f(T)=\{0\}\cap\{0\}=\{0\} $$
である。よって、
$$ f(S)\cap f(T)\ne\varnothing $$
である。
以上により、$S\cap T=\varnothing$ であっても、一般には $f(S)\cap f(T)=\varnothing$ とは限らない。
$$ \Box$$

単射(今後定義する)の場合

$f:A\to B$ が単射であれば、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ S\cap T=\varnothing \Longrightarrow f(S)\cap f(T)=\varnothing $$
が成り立つ。

投稿日:3日前
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Kagura
Kagura
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■ 分野を問わず数学の証明が好きです。あとで自分が読み返したときに、きちんと理解できるノートを作ることを心がけています。不定期に過去のノートを確認し、修正&更新 (追加&削除) しています。定義、命題、証明などに誤りや不正確な点がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025年12月28日)。    

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