ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2020午前05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2020午前05
を以上の自然数とする。多項式の集合
は和とスカラー倍で複素次元線型空間になっている。に対して線型写像を
で定義する。
- 及びのときの固有値を全て求め、各固有値に関する固有空間の基底をそれぞれ一組挙げなさい。
- の固有値をを用いて表しなさい。
- が適切な基底の変換によって対角行列で表現できるためには、ないしのいずれかが満たされていることが必要充分であることを示しなさい。
- (2)から固有値はであり、それぞれの固有値の固有空間をとしたとき
である。 - 初めにの場合
である。以上からこの場合はがそれぞれ固有値に関する固有ベクトルになっている。次にの場合、で定義した元からできる基底に関する表現行列は対角成分が全ての上三角行列であるから、その固有値はのみである。以上をまとめるとの固有値は
である。 - (2)の議論からのとき、は対角化可能である。一方のとき、(2)で作った基底に関する表現行列の最小多項式を見ることにより、が対角化可能になるのは、のときであり、またそのときに限ることがわかる。以上から結果が従う。