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量子群の2階微分演算子の表現

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量子群U=Uq(so(4))の表現を2階微分演算子を使って構成するメモ書きである。量子群の定義は Wikipedia を参照。

q類似

θx=xx, [N]=qNqNqq1, Dx=1x[θx], [N]r=[rN]/[r]
[N]r!=k=0N[k]r, (NM)r=[N]r![NM]r![M]r!

Cartan行列,単純ルート(C2型)

A=(2122),α1=(20),α2=(11)

生成元

非可換多項式環
V=C(q)x,y,Dx,Dy[[θx,θy]]
e1=i[2]x2e2=yDxf1=i[2]Dx2f2=xDyh1=θx+12h2=θx+θydi=(αi,αi)/2qi=qdiki=qihi=kαikλ=qd1λ1h1+d2λ2h2   (λ=λ1α1+λ2α2)

Uの表現

上の対応はUからVへの同型(表現)である。つまり次の恒等式が成立する。
[次数]
k0=1kλkμ=kλ+μkλeikλ1=q(λ,αi)eikλfikλ1=q(λ,αi)fi
[直交性]
[ei,fj]=eifjfjei=δij[hi]di
[q-Serre関係式]
e23e1[3]e22e1e2+[3]e2e1e22e1e23=0f23f1[3]f22f1f2+[3]f2f1f22f1f23=0e12e2[2]2e1e2e1+e2e12=0f12f2[2]2f1f2f1+f2f12=0

q括弧の2次の恒等式

a+c=b+dのとき
[a][b][c][d]=[a+c][bd]=[bc][a+c]

演算子代数Vの準同型

Ad(x):AxAx1はVの同型。
特に、Ad(x)θx=θx1

[次数]
指数法則から示せる。
k1e1k11=e1q2(θx+2)+1(2θx+1)=q(α1,α1)e1k2e1k21=e1q(θx+2)+θx=q(α1,α2)e1k1e2k11=e2q2(θx1)+1(2θx+1)=q(α1,α2)e2k2e2k21=e2q(θx1)+θx+(θy+1)θy=q(α2,α2)e2
fも同様。
[直交性]
ijならば[ei,fj]=0は自明。補題を使う。
[e1,f1]=[2]2([θx+2][θx+1][θx][θx1])=[2θx+1]/[2]
[e2,f2]=[θx+1][θy][θx][θy+1]=[θx+θy]
[q-Serre関係式]
補題を使う。
e23e1[3]e22e1e2+[3]e2e1e22e1e23=iy3[2]x[θx]([θx+2][θx+1][3][θx+1][θx]+[3][θx][θx1][θx1][θx2])=iy3[2]x[θx]([3][2θx][3][2θx])=0f23f1[3]f22f1f2+[3]f2f1f22f1f23=ix[2]Dy3([θx][θx1][3][θx+1][θx]+[3][θx+2][θx+1][θx+3][θx+2])=0e12e2[2]2e1e2e1+e2e12=i2x3y[2]3([2][θx][4][θx+2]+[2][θx+4])=i2x3y[2]3([2][θx+4][2][θx+4])=0f12f2[2]2f1f2f1+f2f12=i2y[2]3x3[θx]([2][θx+1][θx][4][θx][θx1]+[2][θx][θx3])=i2y[2]3x3([2][θx][θx3]+[2][θx][θx3])=0

一番簡潔な証明にまで落とし込んだ。
2次の関係式が直感的に使えるようになってきたので計算スピードが格段に上がった。
今後はこれを用いて、Jantzen, J. C. Lectures on Quantum Groups. American Mathematical Society, 1996.の解読を進めていきたい。

投稿日:2023813
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赤げふ
赤げふ
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東工大情報B4 数学,理論物理,Minecraft計算機/微分演算子の記事を書きます/主に表現論,量子群,物理の数理に興味があります

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