ここでは東大数理の修士課程の院試の2023B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2023B07
次複素正方行列のなす位相空間の部分空間
を考える。ここで
とおく。ここでは固有値を持つが、このに関する固有ベクトルをを満たすようにとり、と定義する。
(1) はの取り方に依らずに、写像を定めていることを示せ。
(2) は連続写像であることを示せ。
(3) 任意のに対して、はと同相であることを示せ。
- まずはの元倍の違いを除いて一意に定まる。ここでとおくと、
であるから、は関数をに依らず定めている。また
であるからの像はに含まれている。以上から結果が従う。 - まずの開部分集合
をとる。このとき及びに対して
と表せるから、は上連続関数である。 - まずを固定する。初めにの場合を考える。ここで連続写像を
とおく。この写像の像に含まれる行列の固有多項式はであり、このに関する固有ベクトルは
で与えられ、これは成分の二乗和がになっていて、しかも
であるから、は連続単射写像を定義する。一方の元
はからが一意的に定まることを考慮すると、
によって連続逆写像が与えられている。以上から同相が得られる。次に(resp. )のときを考える。このとき(resp. (0,1))であり、これを固有値の固有ベクトルに持つようなの行列は
限られる。よって同相が従う。