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科学大数学系院試過去問解答例(2024午前01)

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ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2024午前01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。 

2024午前01

$n$$2$以上の自然数とする。$n$次正方行列$A=(a_{i,j})$
$$ a_{i,j}=\begin{cases} 1&(i=j)\\ a&(i\neq j) \end{cases} $$
で定める。
(1) $A$の最小多項式を求めなさい。
(2) $A$の固有値をすべて求め、各固有値についての固有空間の次元も求めなさい。
(3) $A$のランクを求めなさい。

  1. ここでは$A$$A_a$と表す。$a\neq0$とき
    $$ A_1A_{-\frac{1}{n-1}}=0 $$
    であり、
    $$ A_1=\frac{1}{a}(A_a-(1-a))\neq0 $$
    $$ A_{-\frac{1}{n-1}}=-\frac{1}{n-1}(A_a-(1+(n-1)a)\neq0 $$
    なので
    $$ {\color{red}(X-(1-a))(X-(1+(n-1)a))} $$
    が最小多項式である。一方$a=0$のときは${\color{red}X-1}$が最小多項式である。
  2. 固有値は最小多項式の根であるから、$A_a$の固有値は${\color{red}1-a}$及び${\color{red}1+(n-1)a}$である。ここで$a\neq0$のとき$1-a$に関する固有空間は
    $$ (0,\cdots,0,1,-1,0,\cdots,0) $$
    のかたちの元$n-1$個を全て含み、$a+n-1$についての固有空間は
    $$ (1,\cdots,1) $$
    のかたちの元を含む。よって固有空間の次元は$1-a$のとき${\color{red}n-1}$$1+(n-1)a$のとき${\color{red}1}$である。一方$a=0$のとき固有値$1$に関する固有空間の次元は${\color{red}n}$である。
  3. まず$a\neq1,-n+1$のとき$A_a$$0$を固有値に持たない。また$a=1$のときは$0$の固有空間が$n-1$次元以上ある。よって$A_1$のランクは$n-(n-1)=1$である。一方$a=-\frac{1}{n-1}$のとき、
    $$ -\frac{1}{n-1}A_1=A_{-\frac{1}{n-1}}-\qty(1+\frac{1}{n-1}) $$
    の固有値$0$に関する固有空間が$n-1$次元であることから、$A_1$の固有値$0$に関する固有空間の次元は$1$である。よって$A_{-\frac{1}{n-1}}$のランクは$n-1$である。以上から
    $$ {\color{red}\mathrm{rank}(A)=\begin{cases} n&(a\neq1,-\frac{1}{n-1})\\ 1&(a=1)\\ n-1&(a=-\frac{1}{n-1}) \end{cases}} $$
    である。
投稿日:105
更新日:109
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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