素数 $p$ に対し,$a$ を$p$の倍数でない自然数とすると,
$a^{p-1} \equiv 1 ~(\mbox{mod}~~ p) $,
が成り立つ.
定理中に現れた式は合同式というもので,両辺を$p$で割った時の余りは等しいことを示す.
$1 \le k \le p-1$ を満たす自然数$k$を用意する.次に,以下のような合同式を考え,自然数$r_k$ ($1 \le r_k \le p-1$) を考える.
$k \cdot a \equiv r_k ~(\mbox{mod}~~ p).$ (1)
つまり$r_k$は $k \cdot a$を$p$で割った余りである.余りが $0$ にならないのは,$p$ が素数であり,$a$ と $p$ が互いに素だからである.式(1)を $1 \le k \le p-1$の範囲で全て掛け算する.
$(p-1)! \cdot a^{p-1} \equiv \Pi_{k=1}^{p-1} r_k ~(\mbox{mod}~~ p).$ (2)
ここでもしある $i, j$ を選び $i \ne j$ だとする.この時に $r_i = r_j$ が成り立つと,式(1)を $i, j$ の場合について選んで引き算することで,
$(i-j) a \equiv (r_i -r_j)~(\mbox{mod}~~ p),$
となる.$a, p$は互いに素で,$1 \le i, j \le p$ であるから,$|i-j| < p$であり,$i-j$ と $p$ が互いに素である.よって左辺は$p$で割り切れないから右辺も割り切れない.このことから,
$r_i - r_j \ne 0 ,$
が示される.つまり $r_k ~(1 \le k \le p-1)$ には $1$ から $p-1$ までの自然数が1個ずつ含まれる.このことを用いると,
$(p-1)! = \Pi_{k=1}^{p-1} r_k$ ,
となる.これらは $p$ で割り切れないので,合同式 (2) の両辺に割り算が適用でき,
$a^{p-1} \equiv 1 ~(\mbox{mod}~~ p) $,
が示される.