0

斎藤正彦-線形代数学

316
0
$$$$

斎藤正彦 - 線形代数学 行間うめ

解いたものからチョコチョコ書き足していきます.学生のこしらえものなので間違いがあるかもしれません.不適切な言明や間違いなどありましたらごめんなさい

chapter 5

section 2

行列の累乗の公式

本文には書かれていませんが,等比数列の和の公式が正則行列にも使えることを示しておきます
$ A-E$が正則であれば$\sum_{p=0}^{q-1} A^p =(A-E)^{-1}(A^q-E)=(A^q-E)(A-E)^{-1}$

$\sum_{p=0}^{q-1} A^p(A-E) = (A-E)\sum_{p=0}^{q-1} A^p = (A^q-E)$

5.2.7

$Tr(A^TA)$
$\|A\| < 1$ より$\infty > \frac{1}{1-\|A\|}=\sum_{p=0}^{\infty}\|A\|^p \geq \sum_{p=0}^{\infty}\|A^p\|$である.$\|\cdot\| > 0$より部分和$S_n = \sum_{p=0}^{n}\|A^p\|$は単調増加しかつ有界な列であるのである値に収束する.つまり$\sum_{p=0}^\infty A^p$はノルム収束し,$\sum_{p=0}^\infty A^p$も収束することがわかる.5.2.3より$\lim_{q\to\infty}A^q = O$であることに注意して
$\lim_{q\to\infty}\sum_{p=0}^{q} A^p(A-E) = \lim_{q=\infty}(E-A^{q+1})\\ \lim_{q\to\infty}(\sum_{p=0}^{q} A^p)(E-A) = E - O$

chapter 6

$\S$1 線形空間と線形写像

6.1.8

$T(x) = Ax$とすると$T(x+y) = Ax + Ay = T(x) + T(y)$で表されるし,$T(\alpha x) = A(\alpha x) = \alpha Ax = \alpha T(x)$
$T(x) = x^TAx$とかだと$T(\alpha x) = \alpha^2 T(x)$であるからこれは線形写像ではない.
$0$$V$のゼロ元なので$0+x = x$
$T$の線形性より$T(x+0) = T(x) + T(0)$
また$T(x+0) = T(x)$より$T(x) = T(x) + T(0)$よって$T(0)$$V'$のゼロ元である

6.1.13
  1. について$V \cong V'$かつ$V' \cong V''$であるとは,$V$から$V'$への同型写像$T_1$ また$V'$から$V''$への同型写像$T_2$が存在することを意味する.$V \cong V''$を示すには,$V$から$V''$への同型写像が存在することを示せば良い.ここで同型写像とはそれ自身が全単射であることだったから,$T_1, T_2$が共に全単射であればその合成写像$T_2 \circ T_1$が全単射であることを示せば良い.これを示すのは容易である.例えば 引用先p3命題5.1.3

引用 東京女子大学-新國先生の講義資料
https://www.lab.twcu.ac.jp/~nick/lecture/2013/bijection.pdf

6.1.14
  1. 行列を縦に並べ替えただけ.行列とベクトルはもれなく一対一対応するので同型である.
  2. 1.1.14で確かめたように$K^n$から$K^m$への線形写像は $m \times n$行列による写像ともれなく一対一対応するので同型である
  3. $x$$n$次から$0$次までの係数を取り出すだけの作業.これももれなく一対一対応するため同型

$\S$1の問題

問題1

(1)$|| {\bf a} || = 1$となる${\bf a}\in S$に対して$\bf b=-a$とすると${\bf b}\in V$であり$||{\bf b}|| = 1$であるから${\bf b} \in S$だが$|| {\bf a+b} || = || {\bf 0} || = 0$となり,${\bf a+b}\notin S$.和について閉じていないので$S$$V$の部分空間ではない
(2)$Y\in V,\ AYB =C$を仮定する.$X+Y \in V$について$A(X+Y)B = AXB + AYB = C+C$である.これは一般の$C$については成り立たないが,$C=O$の場合のみ成立する.以降$C=O$とする.つまり$S=\{X\in V; AXB = O\}$.
例えば$X=O$$AXB=O$を満たすので$S\neq \varnothing$$S$の元は和について閉じていることは上で確認した.任意の$\alpha \in K $について$A(\alpha X)B = \alpha AXB = \alpha O = O$である.以上で部分空間の定義を満たすことが確認できた.
(3)部分空間ではない.反例:$\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \\ \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \\ \end{pmatrix}$はどちらもdeterminantが$0$であるがこれらの和の行列式は$1$となる.
(4)$f=0$を用意すれば$S$が空集合でないことを確認できる.和と積については積分の線形性より示すことができる
(5)同じく$f=0$を用意すれば空集合でないことが確認できる.$g \in S, \alpha \in K$について和と積が閉じていることを確認できる.

問題2

(1)$0\in W \land 0\in U$であるため$W\cap U$は空集合ではない
$\alpha, \beta \in K, x, y \in (W\cap U) \Rightarrow \alpha x,\beta y\in W \land \alpha x,\beta y \in U$
$\Rightarrow (\alpha x+\beta y) \in W \land (\alpha x+\beta y)\in U$
$\Rightarrow (\alpha x+\beta y) \in (W \cap U)$
となり和と積について閉じていることが示された
(2) (1)と同様に,$X$は空集合ではない.
$z_1, z_2 \in X$とするとそれぞれ対応する$x_1,x_2 \in W, y_1,y_2\in U$があって$z_1 = x_1 + y_1, z_2 = x_2 + y_2$とかける.そのため$z_1 + z_2 = (x_1 + y_1 ) + (x_2+y_2) = (x_1 + x_2)+(y_1+y_2)$
$(x_1+x_2)\in W, (y_1+y_2)\in U$であるため$(z_1 + z_2) \in X$である.
さらに$\alpha \in K$を考えると
$\alpha z_1 = \alpha (x_1 + y_1) = \alpha x_1 + \alpha y_1$であり,$\alpha z_1$$X$の元であることが確認できた

問題3

(1)Yes
$T(x+y) = (x+y|b) = (x|b)+(y|b) = T(x) + T(y)$
$T(\alpha x) = (\alpha x|b) = \alpha ( x|b) = \alpha T(x)$
(2)No 反例:
$T(x+(-x)) = || 0 ||$
$T(x) + T(-x) = ||x|| + ||x||$
$x=0$の時しか$T(x+(-x)) = T(x) + T(-x)$が成り立たない
(3)$T(X+Y) = A(X+Y)B = AXB + AYB =T(X) + T(Y)$
$T(\alpha X) = A(\alpha X)B = \alpha AXB = \alpha T(X)$
(4)No 反例:
$T(\alpha X) = \alpha XA\alpha X = \alpha^2 T(X)$
ただし$A=O$の時のみ線形性が成り立つ
(5)No 反例:
$T\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \\ \end{pmatrix}+T\begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \\ \end{pmatrix} = 0$だが
$T(\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \\ \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \\ \end{pmatrix}) = T\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\ \end{pmatrix} = 1$

問題4

$T[\cdot]$が何を表すかを考える.$T( \cdot )$が要素と要素を対応づけしていたのに対し$T[\cdot ]$は集合と集合の対応づけを行っている.
(1)$A$$V$の部分空間だからそのゼロ元$0$を含み,$T(0)\in T[A]$それゆえに$T[A] \neq \varnothing$
次に$u,v\in T[A], \alpha \in K$を仮定する.$u,v$$A$の何らかの要素の射影なので$u = T(x), v=T(y)$なる$x,y\in A$がある.$A$は部分空間を構成するので$x+y\in A$以上の事実から$u+v=T(x) + T(y) = T(x+y) = T(x+y) \in T[A]$また$\alpha u = \alpha T(x) = T(\alpha x) \in T[A]$であるから$T[A]$は部分空間を構成する
(2)$T(0)$$V'$のゼロ元であるから$T(0)\in P$それゆえ$0\in T^{-1}[P]$であり$T^{-1}[P]\neq \varnothing$
$x,y\in T^{-1}[P], \alpha \in K$とすると$u=T(x), v=T(y)$なる$u,v\in P$があって$T(x+y) = T(x) + T(y) = u+v \in P$だから$x+y \in T^{-1}[P]$また$T(\alpha x) = \alpha u \in P$であるから$\alpha u \in P$となる.以上の事実より$T^{-1}[P]$は部分空間を構成する

投稿日:20201112

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

kadecl
kadecl
0
363
音響信号処理に興味があります. ブラインド音源分離,雑音抑制など

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中