本稿では環は必ずしも可換ではない単位的な環、体は可換体を表すものとします。また、加群といえば「左加群」を表すものとします。
以下、$A$を環、$M$を$A$加群$,B$を空でない$M$の部分集合とする。
$M$の任意の元$b$が、Bのある有限個の元$x_1, \dots x_m$と元$a_1, \dots a_m$を用いて$b=a_1x_1+\dots a_mx_m$と表されるとき、$B$は$M$を$A$加群として生成するという。
$m$や$x_1,\dots x_m,a_1,\dots a_m$が$b$によって変化しても良い。
$M$の部分集合$\{x_1,\dots x_m \}$が一次独立であるとは$a_1x_1+\dots+a_mx_m=0 \Rightarrow a_1=\dots=a_m=0$が成立することである。
$B$が$M$を生成し、$B$の任意の有限部分集合が一次独立であるとき、$B$は$M$の基底であるという。
零加群は$\emptyset$を基底として持つと考えるのが一般的である。
$\mathbb{Z}$は自然な作用で$\mathbb{Z}$は左$\mathbb{Z}$加群になる。このとき、$\mathbb{Z}$は基底$\{1\}$を持つ。
$\mathbb{Z}/2{\mathbb{Z}}$は自然な作用で$\mathbb{Z}$加群になるが$2\cdot 1=0$のため基底を持たない。
例1は$A$が整域であれば$A$加群として基底$\{1\}$を持ちます。
選択公理の元では$A$が体のとき基底を持つことが知られていますがそれはまた別の機会に$\dots$(任意の$A$加群が基底を持つような$A$のクラスとかは知られているんでしょうか。少し考えてみます。)