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sinの無限乗積展開の初等的証明

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ここでは, $\sin$の無限乗積展開
$$\begin{eqnarray} \sin\pi x=\pi x\prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{x^2}{n^2}\right) \end{eqnarray}$$を初等的に証明していきたいと思います. まず, $\cos$$n$倍角は$\cos$の多項式でかけることを示します. 自然数$n$に対して,
$$\begin{eqnarray} \frac{\sin nx}{n\sin x}=f_{n-1}(\cos x) \end{eqnarray}$$とします. $f_0(x)=1$であることと,
$$\begin{eqnarray} f_n(\cos x)&=&\frac{\sin(n+1)x}{(n+1)\sin x}\\ &=&\frac{n}{n+1}\frac{\sin nx\cos x+\sin x\cos nx}{n\sin x}\\ &=&\frac{n}{n+1}f_{n-1}(\cos x)\cos x+\frac{1}{n+1}\cos nx \end{eqnarray}$$より, $f_n(x)$$n$次の多項式であることがわかります.
$$\begin{eqnarray} f_{2n}(\cos x)=\frac{\sin(2n+1)x}{(2n+1)\sin x} \end{eqnarray}$$において, $x\to\pi-x$とすると,
$$\begin{eqnarray} f_{2n}(-\cos x)=\frac{\sin(2n+1)x}{(2n+1)\sin x}=f_{2n}(\cos x) \end{eqnarray}$$よって, これは偶関数だから, $f_{2n}(\cos x)$$\cos^2x = 1-\sin^2x$の多項式となり, $f_{2n}(\cos x)$$\sin^2 x$の多項式でかけることがわかります. それを$\sin x$の多項式として考えたものを$g_{2n}(x)$として, 零点を考えると, $C_{2n}$$n$に依存する定数として,
$$\begin{eqnarray} g_{2n}(x)=C_{2n}\prod_{k=1}^{n}\left(x-\sin\frac{\pi k}{2n+1}\right)\left(x+\sin\frac{\pi k}{2n+1}\right)=C_{2n}\prod_{k=1}^n\left(x^2-\sin^2\frac{\pi k}{2n+1}\right) \end{eqnarray}$$と因数分解することができます. よって, $x\to\sin x$として,
$$\begin{eqnarray} \frac{\sin(2n+1)x}{(2n+1)\sin x}=C_{2n}\prod_{k=1}^{n}\left(\sin^2 x-\sin^2 \frac{\pi k}{2n+1}\right) \end{eqnarray}$$となります. ここで, $x\to 0$とすることによって, $C_{2n}$が以下のように求まります.
$$\begin{eqnarray} C_{2n}=(-1)^n\prod_{k=1}^{n}\frac{1}{\sin^2\frac{\pi k}{2n+1}} \end{eqnarray}$$これを代入して,
$$\begin{eqnarray} \frac{\sin(2n+1)x}{(2n+1)\sin x}&=&\prod_{k=1}^{n}\left(1-\frac{\sin^2 x}{\sin^2\frac{\pi k}{2n+1}}\right) \end{eqnarray}$$となることが分かります. ここで, $x\to \frac{x}{2n+1}$とすると,
$$\begin{eqnarray} \frac{\sin x}{(2n+1)\sin\frac{x}{2n+1}}=\prod_{k=1}^n\left(1-\frac{\sin^2\frac{x}{2n+1}}{\sin^2\frac{\pi k}{2n+1}}\right) \end{eqnarray}$$となって, $n\to\infty$とすることによって,
$$\begin{eqnarray} \frac{\sin x}{x}=\prod_{k=1}^{\infty}\left(1-\frac{x^2}{\pi^2k^2}\right) \end{eqnarray}$$つまり,
$$\begin{eqnarray} \sin\pi x=\pi x\prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{x^2}{n^2}\right) \end{eqnarray}$$となり証明が完了しました.

投稿日:20201113
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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