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ゼータ関数の定義と積分表示

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ゼータ関数を以下のように定義します.
$$\begin{eqnarray} \zeta(s):=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s},\quad 1\lt \mathfrak{R}s \end{eqnarray}$$

によって, 定義します. ここで,
$$\begin{eqnarray} \zeta(1)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n} \end{eqnarray}$$は調和級数と呼ばれていて, 発散することが知られています. 第$2^k+1$項から、第$2^{k+1}$項までを$\frac{1}{2^{k+1}}$に置き換えると,
$$\begin{eqnarray} 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots&\gt& 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\cdots\\ &=&1+\frac{1}{2}+2\cdot\frac{1}{4}+4\cdot\frac{1}{8}+8\cdot\frac{1}{16}+\cdots\\ &=&1+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\cdots\end{eqnarray}$$となって最後の級数が発散していることから従います. さて, 積分表示を考えてみます.

ゼータ関数は以下の積分表示をもつ.
$$\begin{eqnarray} \zeta(s)=\frac 1{\Gamma(s)}\int_0^{\infty}\frac{x^{s-1}}{e^x-1}~dx,\quad 1\lt \mathfrak{R}s \end{eqnarray}$$

ガンマ関数から得られる等式,
$$\begin{eqnarray} \frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^{\infty}x^{s-1}e^{-nx}\,dx=\frac{1}{n^s} \end{eqnarray}$$をもちいて,
$$\begin{eqnarray} \zeta(s)&=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s}\\ &=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^{\infty}x^{s-1}e^{-nx}\,dx\\ &=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^{\infty}x^{s-1}\sum_{n=1}^{\infty}e^{-nx}\,dx\\ &=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^{\infty}\frac{x^{s-1}}{e^x-1}\,dx\end{eqnarray}$$
これがゼータ関数の積分表示になっています. ここで, 変数変換をしてみます.
$$\begin{eqnarray} \zeta(s)&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^{\infty}\frac{x^{s-1}}{e^x-1}\,dx\\ &=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^1\frac{(-\ln x)^{s-1}}{1-x}\,dx\\ &=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^1\frac{(-\ln(1-x))^{s-1}}{x}\,dx\end{eqnarray}$$と対数関数をもちいた積分表示もできます. さて, ここでゼータ関数を交代和にした,
$$\begin{eqnarray} \eta(s):=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n^s} \end{eqnarray}$$を考えてみます. これはDirichletイータ関数と呼ばれています.
$$\begin{eqnarray} \sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n^s}&=&\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(2n+1)^s}-\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{(2n)^s}\\ &=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s}-2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{(2n)^s}\\ &=&\zeta(s)-2^{1-s}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s}\\ &=&(1-2^{1-s})\zeta(s)\\\end{eqnarray}$$ というふうにゼータ関数で表すことができます. さて, これをもちいて, 対数関数のTaylor展開より, $$\begin{eqnarray} \sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n}=\ln 2 \end{eqnarray}$$がわかるので,
$$\begin{eqnarray} \lim_{s\to 0}s\zeta(1+s)&=&\lim_{s\to 0}\frac{s}{1-2^{-s}}\eta(1+s)\\ &=&\frac{1}{\ln 2}\cdot \ln2\\ &=&1\end{eqnarray}$$ よって, $$\lim_{s\to 0}s\zeta(1+s)=1$$ となります.

投稿日:20201113

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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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