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本当は怖い,高校の数学(解答編1)

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二次方程式x2x1=0を解け.

解答例

各素体における根の有無を求め,存在すればそれを明示することで,この問に対する解答とする.

準備として,以下の式変形を行っておく.
x2x1=0(x21)2=1+22=(21)2×(22+1)

この変形により,この問題は,標数がp2である体においては,「(22+1)は平方元か?」という問題に帰着された.

  • 標数p=2のとき(F2

この場合は,上の変形が使えないので,全ての元について根であるかどうかを計算する.
0201=10,     1211=10
であるから,方程式はF2上で根を持たない.従って,最小分解体はF22次拡大体
F2[t]/(t2+t+1)=F22
であり,方程式の根はtt+1である.

  • 標数p>2のとき(Fp

F5における二乗の演算は
12=1,     22=4,     32=4,     42=1
であるから,平方剰余記号を用いて表すと,以下のようになる.
( 1 5)=( 4 5)=1,     ( 2 5)=( 3 5)=1
また,平方剰余の相互法則から,
( 5 p)=(1)p12512( p 5)=( p 5)
であるから,「5Fpで平方元」と「pF5で平方元」が同値である.従って,各素体における最小分解体は,次のようになる.

{Fp(p0,1,4 mod 5)Fp[t]/(t2t1)(p2,3 mod 5)

以下,正標数における「解の公式」について説明する.

後日,追記予定

  • 標数0のとき(Q

この体は,1を何度足しても0にならないという,かなり特殊な性質を持っているので,虱潰しに根を探すという解法が通用しない.

方程式の左辺は,整数係数一変数多項式の既約判定法
pFp[x]Z[x]Q[x]

より,有理数係数一変数多項式の世界では因数分解不可能であり,故に方程式は有理数の根を持たない.従って,Q上の最小分解体は
Q[t]/(t2t1)
であり,方程式の根は,5の平方根(の一つ)を5とおく事で,次の様に書き表される.
x=1±52
以下,小数という概念を用いてQを完備化し,根の明示を試みる.

  • p-進体(Qp

まず,ヘンゼルの補題から,p2,5に対して,
5Qp5Fp
であるから,p1,4 mod 5となる素数pに関して,5の平方根はQpの元であり,小数表示が可能である.例えば,Q11における5の平方根は,直接計算(やニュートン法等)により
2516067.0,     8594a44.0   (a=10)
である事が確かめられるので,
Q11における方程式の根は次の様に近似される.
1363034.0,     9848a78.0   (a=10)

  • 実数体(R

この体は,アルキメデス付値による完備なので,他の体とはかなり性質が異なる(例えば,小数展開は後ろに続き,その表示は一意ではなく、弱い三角不等式しか成立しない).
しかし,この体は距離に関して順序体であるので,次の不等式を満たす様にanを定める事でコーシー列{bn}を作る事が出来る.

2<a1<3,   2.2<a2<2.3,   2.23<a3<2.24,   

この数列はlimnan=5=2.2360679...に収束し,実数体に含まれる.従って,方程式の根は次の様に近似された.
x={1+52=1.6180339152=0.6180339

投稿日:2020116
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