を満たすものをSteinerシステムと呼び,
Fano平面
どの2点も必ず一つの線(円)に属していることが確認できる. ブロックを列挙すると
となる.
7次対称群
と定める. このとき,
は置換群
このような
以下,
Fano平面の対称性について, 次の2つの視点から考察を試みる.
2については Configurations from a Graphical Viewpoint(p.170-173) を参考にしている.
Fano平面は一見したところ, 直線と円によって構成されているが, 直線も三次元空間では円をなしていると考えれば, 以下のように正四面体へ埋め込むことができる.
Fano平面と正四面体
ただし, 図2では前面の内接円は省略していて, 点7に関してはすぐに回収する.
図1のFano平面のブロックは
点7を他の点と等価に表現するため, 図2の正四面体を正五胞体へと埋め込む.
Fano平面と正五胞体
ブロック
となる.
次に図3の内側の正四面体の対称性を考える.
最も理解しやすい操作は2点交換であろう. 例えば
交換された点を青で表している
ここで注目すべきは外側の面が
通りの操作が得られる.
このことから, 大雑把な
7は素数であるから, 外側の面を変化させる操作で位数7の巡回群
また,
赤 :
緑 :
以上を併せて考えれば,
三次元空間内での正四面体の操作については構造が明らかになっているが, そこへ4次元の回転を含めると直感的な考察は困難になる. そこで, Fano平面をLeviグラフで表現し, 上の
Steinerシステム
Steinerシステム
二部グラフの閉路の長さは偶数であるから, 内周は4または6以上である.
Leviグラフが長さ4の閉路を持つとすると,
よって, 内周は6以上である.
Fano平面のLeviグラフはHeawoodグラフとして知られており, 3-正則のHamiltonグラフである.
Heawoodグラフ
長さ6の閉路を持つ
Heawoodグラフで赤頂点を赤頂点へ, 青頂点を青頂点へ移すような自己同型群
図7のHamilton閉路について考える.
まず, 外周を周る閉路は明らかにHamiltonianである.
外周のHamilton閉路
Heawoodグラフは14角形であるが, 頂点の色を保存するという制約の下では7角形と同じ対称性を持つ. 加えて鏡映反転もできないためその対称性はより低下する.
しかし
ここで手短にHolomorph,Frobenius群,二面体群,巡回群についての説明を挟んでおく. これらはすべて正多角形の回転と変形から生じる群で, 巡回群は回転移動, それに鏡映反転を付加したものが二面体群である.
二面体群と巡回群のCayleyグラフ
HolomorphとFrobenius群はさらに多角形の変形も許す. 例えば, 五角形では
の4種類を自由に行き来することができ, このような群を
によって定められた半直積
のように定義され, つまりは自分自身との半直積のことである.
Holomorph, Frobenius群, 二面体群, 巡回群の4種の中ではHolomorphは多角形に対して最も寛容で対称性が高い.
Frobenius群はHolomorphが許す多角形の変形を一部禁止したもので, 例えば
のうち, 上の段のみ(下の段でもよい)の変形を考える群である.
本題に戻って, 条件を再確認してみると,
と, この性質はHolomorphでも二面体群でもなく, Frobenius群に他ならない.
3つ目の七角形の変形というのは, 下図のようにグラフの接続構造を保持したままHamilton閉路を変形させる操作が存在しているということで, 例えば
以上から, 朧気だった図6の青矢印の構造が決定された. つまり,
という表示の部分群を持っており, これは位数21のFrobenius群