内容が薄すぎたので全く関係ない二本立てになりました.
$\hspace{5pt}$Legendre 多項式などの直行多項式を基底関数とした級数展開は私の最近の興味深いテーマでしたが,興味を無くしたところでふと思いました.Fourier 級数展開(Chebyshev 級数展開)があるなら,Bessel 関数での展開方法もあるのではないかと.調べたら,あるみたいです.『Fourier-Bessel 展開』.以後 FB 展開と略します.
$\hspace{5pt}$・
Bessel 関数の直交性と Fourier-Bessel 展開
/東京大学宇宙理論研究室
$\hspace{5pt}$・
Fourier-Bessel 展開(Dini 展開)
/とつとつとしてろうとせず
$\hspace{5pt}$・
Bessel function
/Wikipedia
$\hspace{5pt}$また,直行多項式について基本的なことが次の PDF でそこそこ記述されていました.Bessel 関数の直行性も示されています.
$\hspace{5pt}$・
物理数学 II
/辻直人(東京大学)
$\hspace{5pt}$$\nu$次の第一種 Bessel 関数$J_\nu^{}(x)$の$n$番目の零点を$\lambda_n^{(\nu)}$とすれば,$\nu>-1$において直行性
が成り立ち,$[0,1]$で定義される任意の関数$f(x)$は
と展開できます.
$c_n^{}$のことは展開係数と呼ぶことにします.FB 展開係数の計算にあたって Bessel 関数の微分方程式および漸化式が必要になると思いますので,先に列挙してみます.
$\hspace{15pt}$微分漸化式1:$\D 2\frac{d}{dx}J_{\nu}^{}(x)=J_{\nu-1}^{}(x)-J_{\nu+1}^{}(x)$
$\hspace{15pt}$微分漸化式2:$\D 2\nu J_{\nu}^{}(x)=x\L(J_{\nu-1}^{}(x)+J_{\nu+1}^{}(x)\R)$
$\hspace{15pt}$微分漸化式3:$\D \frac{d}{dx}x^{\nu}J_{\nu}^{}(x)=x^{\nu}J_{\nu-1}^{}(x)$
$\hspace{15pt}$微分漸化式4:$\D \frac{d}{dx}x^{-\nu}J_{\nu}^{}(x)=-x^{-\nu}J_{\nu+1}^{}(x)$
$\hspace{15pt}$微分方程式5:$\D \frac{d^2}{dx^2}J_{\nu}^{}(x)+\frac{1}{x}\frac{d}{dx}J_{\nu}^{}(x)-\L(1-\frac{\nu^2}{x^2}\R)J_{\nu}^{}(x)=0$
$\hspace{5pt}$先に述べますが,例えば$\sin\pi x$や楕円積分$K(x)$などの場合でも,線形微分方程式を満たすなら漸化式を立てることは可能ですが,多項間漸化式となり,一般項を求めるのは難しいようです.ただ,一部の場合は容易に計算することができそうです.
$\hspace{5pt}\nu>-1$とします.
よって,
となります.ところで,これに似たかたちの Kneser-Sommerfeld expansion というものがあるらしく,次のような式になっています.
詳細は次の文献に記載されています.
$\hspace{5pt}$・ Summing Sneddon-Bessel series explicitly /Antonio J. Dur´an, Mario P´erez and Juan L. Varona
FB展開ですが,実際に計算するとなるとのような過程になるのかさっぱりわかりません.
$\hspace{5pt}$Bessel zeta function は次のように定義されます.
Bessel 関数に限らず,特殊関数の零点の和をとったものは様々提案されているようで,次の文献には Bessel 関数のほかに Airy 関数やその q 類似についても記述されています.
$\hspace{5pt}$・ Sums of Zeros for Certain Special Functions /Ruiming Zhang
$\zeta_{\nu}^{}(s)$について,$s$が偶数の場合は計算可能らしく,
となっています.また,$s=-2n$のとき
を満たす$c_n^{}$に対して
となっています.ちなみに Bessel zeta の零点に関する文献は見つかりませんでした.
↓ここから全く別の内容$\hspace{5pt}$Gauss quadrature(;ガウス求積)とは
らしいです.英語表記では,Gaussian quadratureも見るのですが,termとしてはどちらを用いればよいのでしょうか.
$\omega(x)$を重み関数にもつ$n$次の直交多項式$p_n^{}(x)$に対して
$p_n^{}(x)$の$n$個の零点をノード(分点)として選ぶと,次数が$2n-1$以下の任意の多項式について正確な積分値を与える$n$個の重み$w_1^{},w_2^{},\cdots,w_n^{}$を選ぶことができる.さらに,それらのノードには重複がなくすべて開区間$(a,b)$にある.
らしいです.
$\bigcirc$$w_i^{}$の計算方法
$\hspace{5pt}$重み$w_i^{}$は次のように表されます.
ただし,$A_n^{}$は$p_n^{}(x)$における$x^n$の係数です.
長々と何か書いてあるみたいですが,結果だけ抜き出すと,
$\hspace{5pt}$$2n-1$次以下の多項式$f(x)$に対して,重み関数$\omega(x)$の直交多項式$p_n^{}(x)=A_n^{}(x-x_1^{})(x-x_2^{})\cdots(x-x_n^{})$とし,
とすれば,
ということだと思います.間違っていたら申し訳ないです.
以下にいくつかの直交多項式と$w_i$をまとめてみました.
$p_n^{}(x)$ | $\omega(x)$ | $(a,b)$ | $w_i^{}$ |
---|---|---|---|
$\textrm{Legendre~Polynomial}:P_n^{}(x)$ | $1$ | $(-1,1)$ | $\D\frac{2}{\D (1-x_i^2)P_n'(x_i^{})^2}$ |
$\textrm{Chebyshev~Polynomial}:T_n^{}(x)$ | $\D\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}$ | $(-1,1)$ | $\D\frac{\pi}{n}$ |
$\textrm{Chebyshev~Polynomial}:U_n^{}(x)$ | $\sqrt{1-x^2}$ | $(-1,1)$ | $\D\frac{\pi}{n+1}\sin^2\frac{\pi i}{n+1}$ |
$\textrm{Gegenbauer~Polynomial}:C_n^{(\alpha)}(x)$ | $(1-x^2)^{-\frac{1}{2}+\alpha}$ | $(-1,1)$ | $\D \frac{\pi\Gamma(2\alpha)}{\Gamma(\alpha)^2}\frac{(2\alpha)_n^{}}{n!}\frac{\D 2^{2-2\alpha}(1-x_i^2)}{\D n(2n-1+\alpha)C_{n-1}^{(\alpha)}(x_i^{})^2}$ |
$\textrm{Laguerre~Polynomial}:L_n^{}(x)$ | $e^{-x}$ | $(0,\infty)$ | $\D\frac{x_i^{}}{\D (n+1)^2L_{n+1}^{}(x_i^{})^2}$ |
$\textrm{Hermite~Polynomial}:H_n^{}(x)$ | $e^{-x^2}$ | $(-\infty,\infty)$ | $\D\frac{\D 2^{n-1}n!\sqrt{\pi}}{\D n^2H_{n-1}^{}(x_i^{})^2}$ |
また,$\D\gamma_n^{}=\int_a^b p_{n}^{}(x)^2\omega(x)\,dx$とおくとき
が成り立つらしいです.
$f(x)$が$2n$次以上のときは,積分と級数の間に誤差が生じ,$(a,b)$上のどこかの数$\xi$を用いて
と書けるらしいです.