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指数に三角関数を含む方程式を複素数の範囲で解く [16^cos²x+16^sin²x=10]

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Youtubeで動画を見て、暇つぶししていたら、おすすめの動画にこんな問題が流れてきた。

$x$についての方程式を解け。

$16^{\cos^2{x}}+16^{\sin^2{x}}=10$

動画内では、$0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{2}$の範囲で解いていたが、
この記事では実数と複素数のそれぞれの範囲で解いてみることにする。 

方程式を実数範囲で解く

$16^{\cos^2{x}}+16^{\sin^2{x}}=10$
半角の公式より
$16^{\dfrac{1+\cos{2x}}{2}}+16^{\dfrac{1-\cos{2x}}{2}}=10$
$4^{\cos{2x}}+4^{-\cos{2x}}=\dfrac{5}{2}$

二次方程式の形に変形して
$2\cdot(4^{\cos{2x}})^2-5\cdot4^{\cos{2x}}+2=0$

さらに因数分解をして
$(2\cdot4^{\cos{2x}}-1)(4^{\cos{2x}}-2)=0$
$4^{\cos{2x}}=2, 2^{-1}$
$\cos{2x}=\pm\dfrac{1}{2}$
$∴x=\pm \dfrac{\pi}{3}+\dfrac{n\pi}{2}\ (n \in \mathbb{Z})$

方程式を複素数の範囲で解く

最初にこの方程式を複素数の範囲で解くためのカギとなる等式を紹介する。
オイラーの公式$e^{ix}=\cos{x}+i \sin{x}$より、以下の等式が成り立つ。
$\cos{x}=\dfrac{e^{ix}+e^{-ix}}{2}$
$x$$ix$にすると
$\cos{ix}=\dfrac{e^{x}+e^{-x}}{2}$
この等式を用いて、方程式をさらに変形していく。

$16^{\cos^2{x}}+16^{\sin^2{x}}=10$
$4^{\cos{2x}}+4^{-\cos{2x}}=\dfrac{5}{2}$
$4$の対数をとって、$2$で割ると
$\dfrac{e^{2\log2 \cdot \cos{2x}}+e^{-2\log2 \cdot \cos{2x}}}{2 }=\dfrac{5}{4}$

先ほどの等式$\cos{ix}=\dfrac{e^{x}+e^{-x}}{2}$より
$\cos(2i \log2 \cdot \cos{2x})=\dfrac{5}{4}$

ここで$\cos{t}=\dfrac{5}{4}$とおくと
$\cos{t}=\dfrac{e^{it}+e^{-it}}{2}=\dfrac{5}{4}$より
$2e^{2it}-5e^{it}+2=0$
$e^{it}=2, 2^{-1}$
$t=\cos^{-1}{\dfrac{5}{4}}=\pm i\log{2}$

逆三角関数をとって
$2i \log2 \cdot \cos{2x}=±\cos^{-1}{\dfrac{5}{4}}+2m \pi =±i\log{2}+2m \pi \,(m \in \mathbb{Z})$
$2\log2 \cdot \cos{2x}=-(±i\log{2}+2m \pi )i$

符号は入れ替えても問題ないから
$2\log2 \cdot \cos{2x}=±\log{2}+2i m \pi$

$\cos{2x}=\dfrac{±\log{2}+2i m \pi}{2 \log2}$

再度、逆三角関数をとって、$2$で割ると
よって $x=±\dfrac{1}{2} \cos^{-1} \left(\dfrac{±\log{2}+2i m \pi}{2 \log2} \right) +n \pi \ (\{m,\,n\} \in \mathbb{Z})$

これにて、$x$が複素数の範囲で方程式の解を得ることができた。

おまけ:定数$a,\,b$バージョンで解いてみる

$a^{\cos^2{x}}+a^{\sin^2{x}}=b$

半角の公式より
$a^{\dfrac{1+\cos{2x}}{2}}+a^{\dfrac{1-\cos{2x}}{2}}=b$
$\dfrac{a^{\dfrac{\cos{2x}}{2}}+a^{\dfrac{-\cos{2x}}{2}}}{2}=\dfrac{b}{2\sqrt{a}}$
$\dfrac{e^{\dfrac{1}{2} \log{a} \cdot \cos{2x}}+e^{-\dfrac{1}{2} \log{a} \cdot \cos{2x}}}{2}=\dfrac{b}{2\sqrt{a}}$

等式$\cos{ix}=\dfrac{e^{x}+e^{-x}}{2}$より
$\cos{\left( \dfrac{i}{2} \log{a} \cdot \cos{2x} \right)}=\dfrac{b}{2\sqrt{a}}$

逆三角関数をとって
$\dfrac{i}{2} \log{a} \cdot \cos{2x}=±\cos^{-1}{\dfrac{b}{2\sqrt{a}}}+2m \pi \,(m \in \mathbb{Z})$

$i \log{a} \cdot \cos{2x}=±2 \cos^{-1}{\dfrac{b}{2\sqrt{a}}}+4m \pi$

符号は入れ替えても問題ないから

$\cos{2x}=\dfrac{±2 \cos^{-1}{\dfrac{b}{2\sqrt{a}}}+4m \pi }{\log{a}} \,i$

逆三角関数をとって、$2$で割ると
よって $x=±\dfrac{1}{2} \cos^{-1} \left(\dfrac{±2 \cos^{-1}{\dfrac{b}{2\sqrt{a}}}+4m \pi }{\log{a}}\;i \right) +n \pi \ (\{m,\,n\} \in \mathbb{Z})$

あとがき的なの

等式$\cos{ix}=\dfrac{e^{x}+e^{-x}}{2}$を変形すると$x+\dfrac{1}{x}=2\cos(i \log{x})$となり、複素数の範囲で方程式を解くのにとても便利な形を得ることができる。


問題の出典について: 解説している動画は出てくるのですが、はっきりとした出典は分かりませんでした。私は数オリの類題だと思っているのですが、誰か知っている人がいれば教えて下さい。

投稿日:315
更新日:6日前

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