Einstein-Maxwell理論によれば電磁場はエネルギー運動量テンソルを通じて時空のRicci曲率に影響を与えるので時空を歪めることができます。この記事では電磁場が重力源としてどれぐらいの影響力を持つのかを地球などの岩石と比較してオーダーで計算してみます。物理苦手なので間違えてたら教えてください。
物理定数
光速度定数 $c=3\times 10^8\ [\rm{m\cdot s^{-1}}]$
真空の透磁率 $\mu_0=1.2×10^{−6}\ [\rm{N\cdot A^{−2}}]$
地球などの岩石を完全流体と見なすとき、質力密度を$\rho\ [{\rm kg\cdot m^{-3}}]$とすると、Einstein方程式によれば、この岩石の静止エネルギー
$$
4\pi\rho c^2\ [\rm{J\cdot m^{-3}}]
$$
が時空を歪めるのに使われると理解できます。
電磁場が存在するとき、同じくEinstein方程式によれば電磁場のエネルギー
$$
\frac{1}{2}(\mathbb{E}\cdot\mathbb{D}+\mathbb{H}\cdot\mathbb{B})\ [\rm{J\cdot m^{-3}}]
$$
が時空のRicci曲率(の時間成分)への影響となります。
よって質量密度$\rho$の岩石と同じぐらいの影響を時空に与えるためには電磁場のエネルギーは
$$
4\pi\rho c^2\sim\frac{1}{2}(\mathbb{E}\cdot\mathbb{D}+\mathbb{H}\cdot\mathbb{B})\ [\rm{J\cdot m^{-3}}]
$$
ぐらいのオーダーである必要があります。
地球の平均密度は$\rho\sim5.5\times10^3\ [\rm{kg\cdot m^{-3}}]$ぐらいなので、もし静磁場$B\ [{\rm T}]$(${\rm T=N\cdot A^{−1}\cdot m^{−1}}$)のみで地球の土砂$1\ [{\rm m^3}]$と同じぐらいの時空の歪みを生み出すには
\begin{align}
&B^2=4\pi\rho c^2\mu_0\sim 4\times 3.14\times 5.5\times 10^3\times 9\times 10^{16}\times 1.2×10^{−6}\sim 7.5\times 10^{15}\ [\rm{T^2}]\\
&B\sim2.7\times 10^8\ [\rm{T}]
\end{align}
ぐらいの磁場が必要になります。
実際に実験しようと思うともっと色々考えないといけないと思いますが、単純にはだいたい1億テスラぐらいの磁場があれば重力的影響は測定できる気がします。重力作用の測定を工夫して精度をよくすれば1千万テスラぐらいでもいけるかもしれません。現在の技術だと1000テスラぐらいは作れるみたいなのでもうちょっとですね。